野村氏の大きな魅力の一つに「言葉」がある。ここからは本誌、小社発行の書籍から「野村の言葉」をたどっていく。 ※インタビューはすべて一部を抜粋したもの →野村克也が語る。「知性」と「愛」で彩られた熱き野球論【後編】 1958年6月25日号10分間インタビュー 「チームにプラスになるバッティングを」
56年にスタメン捕手の座をつかみ、翌年は本塁打王。連続本塁打王に向かう23歳の若武者を直撃。週刊では初インタビューでもあった。初々しいが言葉の選び方には、すでに独特の雰囲気が出ている。 問 好きなピッチャー、嫌いなピッチャーのタイプは。
野村 本音を吐かせるんですか? 僕は大体真っ正面から向かってくるピッチャーはさほど怖くないんです。その逆にヌラリクラリとくる技巧派のピッチャーはいけませんね。こんな球のピッチャーは経験が豊富だし、打者との駆け引きもうまいですから。いつもタイミングをかわされますね。
問 連続ホームラン王への抱負は。
野村 今年はそう簡単にいかないでしょう。出遅れもあったし、まだ自分のペースがつかめないですから。
問 では今シーズンの目標は。
野村 欲望は内面に潜ませています。自分のことよりもチームにプラスになるバッティングをしたい気持ちが先です。
1963年12月30日号ホームラン60本への挑戦 「運がよかっただけや。ええ神さんがついているんや」

若手時代は「ベーブ」の愛称があった(ムースとも)
63年の最終戦最終打席で、ついに52本塁打の日本新記録を達成した。聞き手は野球解説者・佐々木信也氏。仲がいいので、かなりざっくばらんなトークになっている。 佐々木 来年60本塁打はどうだい。
野村 そんな無茶言わんでな(笑)。
佐々木 今年52本でしょ。あと8本くらいなら何とかなりそうなもんだ。ベーブ・ルースに並んで。
野村 そう簡単に言うけどな(笑)。
佐々木 こっちは無責任だからね。
野村 これは月並みな答えになるけど、やらにゃ分からん。
佐々木 しかし最終試合の最終打席(近鉄戦)に新記録のホームランを打ったなんてちょっとないよな。
野村 運がよかっただけや。ええ神さんがついているんや。精進がいいから。それに最終打席で打ったいうけど、あそこで山本(
山本重政)が歩かせるような気配を見せるからいかんのや。普通の勝負をしてくると打たれへんよ。敬遠するようなことするから、こっちは・・・
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