視覚の世界の数値化が進んでいる。高性能弾道測定器の『トラックマン』が導入されるなど、野球界のデータ分析の進化が続く。そんな"数値化"は、最新ギアにも搭載され、より身近なものになりつつある。感覚的なものであった変化球も数値化が進むことで、まだ見ぬ"新球"が生まれる可能性さえ秘めている。 取材・文=鶴田成秀 協力=アクロディア株式会社 一つの指標ができつつある
なぜボールが曲がったり、落ちたりするのか──。物理的に説明するには、次の2つが欠かせない。それが『回転軸』と『回転数』だ。
回転軸は回転方向を意味し、直球ならば一、三塁を結ぶ軸で捕手側に向かってボールが進む。右投手のスライダーならば、極端に言えば捕手方向と二塁方向を結ぶ軸でボールを回転させることで、進行方向(捕手)に対して左回転が生まれ、ボールは左に曲がる、というわけだ。次にポイントとなるのが回転数で、この回転数が増すほど、空気抵抗は大きくなり、曲がり幅も大きくなっていく。
プロ野球界でも、各球場に高性能弾道測定器の『トラックマン』が設置され、各投手のボールのデータを計測。テレビ中継などでも、プロの投手のデータが開示され『回転数』や『回転軸』を見る機会も増えてきた。ひと昔まで“感覚”や“視覚”の世界だった変化球だが、現代はデジタルで数値化されつつある。
ただ、回転数と聞いても“優れた数字”がピンとこない。どれだけの回転数が良いのか、平均値はどのくらいなのか──。球速とは異なり、一般的ではない数字を聞いても、伝わりにくいのが現状だ。その中で、この“数値”を身近に感じることができるギアも多く生まれている。
グラフィック化し、技術向上の助けとなる『Technical Pittch』。重さ・形状・素材は実際のボールと同じだ)
中でも、投じるボールを多角的に解析できる『テクニカルピッチ』は、愛用するプロ選手もいるほど。硬式球の中心にあるコルクの中に『加速度センサー』『ジャイロセンサー』『地磁気センサー』を使用した9軸センサーの『センサーモジュール』を内蔵し、ボールの回転数などを計測する同製品は重さ・形状・素材も実際のボールと変わらない。違いを挙げるなら・・・
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