年々、進化する変化球の世界。果たして、その最新事情とは。ダルビッシュ有(カブス)ら超一流投手と親交が深い、気鋭の“ピッチングデザイナー”お股ニキ氏が解説する。 
5試合連続完投勝利を遂げた中日・大野雄。スプリット、2シームをうまく使い分けている/写真=桜井ひとし
ゲームのような使い分け
MLBで活用され、日本でも広まった変化球として「スラッター」がある。スライダーとカットボールの中間に位置する速い変化球で打者の始動時には真っすぐに見え、バットを振っているときに視界から消えるボールだ。このスラッターに早くから着目し、推奨してきたのがお股ニキ氏だが、現在は“新たな局面”に入っているという。 スラッターがこれだけ日米で流行し誰もが投げると(私にも責任はある気はしている)、打者も対応し、ややスライドしながら落ちるボールのケアはされてきている。NPBでも指標的にカットボールが猛威を振るっていたのは昨年のことで、いまだに有効だが今シーズンは少し下がっている。
では、ややスライドしながら落ちるカッターやスライダーに打者が慣れた昨今、どのようなボールが効果的なのか。そのキーワードが反対方向のシュート側の変化とスライド側でのちょっとした変化の使い分けだ。
当然だがスライド側の意識を持っている打者に対して逆側、すなわちシュート方向に変化するボールは有効だ。それが2シームであり、スプリットであり、高速チェンジアップである。昨年からMLBでそのような傾向は徐々に出始めていた。
MLBで投球割合はさほど変わっていないものの、左打者の内角のボールゾーンからストライクゾーンに入っていく「フロントドア」、右打者のアウトコースいっぱいに入れる「バックドア」での活用が目立つ。スライダーやスラット系が多いからこそ、逆方向に曲げて正確に制球できれば、キャッチャーのフレーミングとの合わせ技で効果的である。
NPBでは・・・
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