最近のMLBはFA選手の契約が年々遅くなっている。今オフは新型コロナ禍の影響で輪をかけてさらに鈍化。キャンプイン1カ月を切った現在もFA市場で目玉の選手が契約できていない。コロナ禍を幸いとオーナー側が年俸を下げる談合? が要因という噂もあるが……。MLBの現状をリポートする。 文=奥田秀樹 写真=Getty Images ![](https://cdn.findfriends.jp/img.sp.baseball/show_img.php?id=75749&contents_id=p_page_001)
今オフFAの目玉であるバウワーはいまだに移籍先が決まっていない。オーナーの思惑と選手会や代理人との思惑とが交錯し、今まで以上に契約が鈍化している
年俸による選手と球団の攻防の歴史
菅野智之の
巨人残留が決まったとき、メジャー球団との交渉を担当したジョエル・ウルフ代理人は正式なオファーが6つの球団からあったことを明かした上で、その金額が「信じられないくらい似通っていた」と不快感を露わにした。
「FA市場では過去にもこういったことがあったが、今回、目の前で起きた。恥ずべきこと」と批判する。MLBのFA市場には労使協定で定められた厳しいルールがある。談合はしてはならないというものだ。1965年ドジャースを世界一に導いたサンディ・コーファックス、ドン・ドライスデールの両投手はオフに協力してドジャースと年俸交渉を行い66年春のキャンプが始まってもサインせず、ようやくキャンプ32日目に合意した。
1年契約でそれぞれ12万5000ドル、11万ドルを勝ち取り当時の最高額となった。ほかのスター選手にも同じことをされたら困ると考えたオーナーたちは68年、初めての労使協定の交渉で、選手会の代表マービン・
ミラーに選手の談合禁止を求めた。ミラーは同意するとともに、オーナーたちも談合は厳禁と要求、以後協定に常に明記されている。
しかしながら85年から87年に有名な談合が起き、発覚した。FA契約は金額が抑えられ、年数も短かった。調停委員会はオーナーたちが労使協定に違反したとして総額2億8000万ドルの罰金を選手に支払うよう命じている。だがその後もたびたび疑わしい事態が起きた。
「(今回)談合があったと怪しんでいるのか?」と聞くと、ウルフ代理人は・・・
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