昨季、パ・リーグの首位打者に輝くも「だからと言って、明日も打てるわけではない」と答えなき道を進み続ける。最善の形を探し求め続けて独自の打撃スタイルを構築し、今季もリーグ打率トップを快走中。そんな男が手にするバットもまた、打者としての生き様を表している。 取材・構成=鶴田成秀 写真=湯浅芳昭、BBM 3つのバットとイエローバーチ
2021年使用バット ■素材/イエローバーチ
■長さ/85.0センチ
■重さ/875~885グラム
プロ1年目の2016年のこと。「使い分けているんです」と3つの木材を併用していることを明かしていた。それは、迷いではなく、プロの投手と対戦する中で、最適な形を探るため。バットに対する考えは、さらなる高みを目指すバットマンの向上心そのものだ。 ──バットと打撃は切っても切り離せない関係です。こだわりも多いのでは。
吉田 野球を始めた小学生のころから、こだわりはありました。金属バットでしたけど、ちょうどビヨンドマックスが出始めたころで。スポーツ用品店に行って、バットやグラブを見るのは好きだったんですよね。
──プロでは自ら改良できます。
吉田 それは面白い部分であり、難しい部分でもあるんです。だからこそ自分の意見を持って、しっかり伝えて、メーカーの方、職人さんとコミュニケーションを取って「自分の1本」を作っていきたいなって。毎年オフには工場に行って、実際に作っている過程を見ることで「なるほど」「こうなっているのか」とバットに対する理解も深まっています。
──振り返れば、プロ1年目は3つの木材を併用していましたよね。
吉田 使っていましたね。アオダモ、ホワイトアッシュ、ハード・メープルの3本を。1年目はまだ何を使っていいのか分からなかったんですよ。探しているというか。1本1本の特徴を、まだ分かっていなかった。いろんなものを試していて、(木材は)硬過ぎず、軟らか過ぎず、自分の手に打感が残る感覚を比べて、良いモノを探していたんです。
──木製バットは大学時代も使っていましたが、プロ入り後に自分に合う木材を探し求めた理由は何だったのでしょう。
吉田 大学時代はメープルを使っていたんです。でも・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン