エースの系譜を継ぐ150キロ右腕 渕上佳輝[トヨタ自動車/投手]
今季、広島の守護神として活躍する偉大な先輩と同じく、大卒2年目でのプロ入りを狙っている。社会人日本選手権の初戦で好アピールに成功。負ければ終わりの一発勝負のトーナメントで「即戦力」を証明した。 取材・文=小中翔太 写真=牛島寿人 
TDKとの社会人野球日本選手権1回戦で、8回無失点と好投し勝利投手。会場のほっと神戸で、NPBスカウトに成長した姿を見せた
抜群のテンポと制球力
昨年まで2年間、投手陣の軸として活躍した
栗林良吏(現広島)の後継者だ。
安藤優也(元
阪神)、金子弌大(現
日本ハム)、
吉見一起(元
中日)、
上野弘文(元広島)、
服部泰卓(元
ロッテ)、
中澤雅人(元
ヤクルト)、
大谷智久(元ロッテ)、
祖父江大輔(現中日)など、偉大な先輩が紡いできた“トヨタのエース”の系譜に大卒入社2年目の
渕上佳輝が加わった。
終盤になってもキレが落ちない、スマートな右のオーバースローである。TDKとの日本選手権1回戦の先発マウンドを任されると、8回を投げて5安打無失点。安定感抜群の投球でロッテの
永野吉成育成・スカウト部長を「キレのある完成度の高いピッチャー。両コーナー投げ分けて、得意のチェンジアップで打ち取れているから、ベンチが安心できるピッチャーですね」と唸(うな)らせた。
最終回は早大から入社16年目のベテラン・佐竹功年にマウンドを譲る形となったものの、与えた四球は1つだけで、108球と余力は十分だった。都市対抗を含む二大大会初登板で初勝利を挙げた24歳に対して、藤原航平監督はこう評価している。
「初戦の入りということで、立ち上がりの難しさの部分をしっかり守って、2回以降ははさすがでした。ストライク先行が良かった。リズムが抜群だと、野手も守りやすい。仮に取られても、最少失点で抑えてくれる。周りを信頼して、バタバタしない感じが出ている。打者に攻めの姿勢を見せているので、それに乗じて野手もしっかり守ってくれました」
1対0で勝利。渕上がこの日投じた108球のうち、72球がストライクだった。テンポと制球の良い投球に野手も自然と足が動く。内野陣のカナメである中京大から入社2年目の遊撃手・
和田佳大を筆頭に、強い打球であり、なおかつ難しいバウンドも軽やかに処理していた。
奪三振は3。数字だけでは判断できない。その場面が・・・
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