今夏の甲子園で21年ぶり3度目の優勝を遂げた智弁和歌山高が最も警戒し、苦戦していたのが、市和歌山高だった。昨秋はライバルから3連勝。152キロ右腕は今春のセンバツを通じて、超高校級の実力を示している。 取材・文=沢井史 写真=毛受亮介 
県大会決勝から1カ月以上が経過し、髪の毛も伸びてきた。バッテリーを組んだ松川虎生とともに、ドラフト当日を静かに待っている
一塁ベンチ前で涙を流し、ライバル校の校歌を聞いた。智弁和歌山高との和歌山大会決勝。夏4試合目の先発マウンドに立った
小園健太は、5回まで2安打無失点投球も、6回裏に先制点を許す。7回表に追いつくが、その裏に勝ち越され、8回にも追加点を奪われた。打線は1点に抑え込まれた(1対4)。市和歌山高はセンバツに続く甲子園を逃した。
「3年生になって春に智弁に(県大会決勝で)負けてから、次は絶対に勝つぞ、と臨んだ夏でした。チームとしても1点への執着心、1球に対するひたむきさを出せたので、準決勝まで(4試合を)すべて
コールド勝ちができたと思います。自分は初戦(対県和歌山高)で緊張はありましたが、(大会を通しては)及第点をあげられる内容だったと思います」
昨秋の近畿大会4強の評価を得て出場した今春のセンバツでは、初戦突破。県岐阜商高との1回戦で完封勝利(1対0)を挙げ、全国から集まったNPBスカウト陣の「上位候補」の評価を、不動のものとした。
ピンチでこそ真っすぐ
小園の真骨頂でもあるテンポの良さは、今夏も健在だった。県和歌山高との初戦(2回戦)こそ初回に満塁から押し出し四球による失点はあったものの、耐久高との準々決勝、高野山高との準決勝と、相手に付け入るスキを与えなかった。決勝でも初回に一番の主将・宮坂厚希に単打を許して以降は、リズム良く低めに球を集めてゴロを打たせて、相手のスコアボードにゼロを並べていた。
「決勝はすべての球種を使って自分の最大限のピッチングができました。5回まではどちらかと言うとチームにいい流れが来ていたけれど、後半になるにつれて、少しでも甘くなった球をしっかり狙われました。得点圏になったときの智弁和歌山の打者の気合をすごく感じました」
小園と言えば、多彩な変化球を狂いなくコースに決められる投球術が大きな武器だ。だが・・・
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