2016年から先発として、自らの力を発揮してきた。数々のタイトルを獲得し、昨季も連続2ケタ勝利を6年に伸ばしたが、数字よりも求めているものがある。オフから強い思いを胸に準備を進めてきた右腕が、3月25日のマウンドから1年をスタートさせる。 取材・構成=菅原梨恵 写真=川口洋邦、湯浅芳昭 
隔離期間を経て3月11日のヤクルトとのオープン戦[神宮]で“復帰”登板。4回2安打1失点と、まずまずの仕上がりを見せた
1年間を意識して
どこよりも、誰よりも早く開幕投手を言い渡された。工藤公康監督から藤本博史監督に代わっても、右腕に対するチームの信頼は変わらず。自身3年ぶり3度目のマウンドに挑む中、3月に入り新型コロナ感染者の濃厚接触者の疑いにより4日のオープン戦の登板を回避、自主隔離となった際には「やっぱり次投げないと不安ですよ(笑)」とこぼしていたが、11日のヤクルトとのオープン戦(神宮)に登板して「現状を分かることができた」。開幕戦を、そこから始まる1年を見据えての“今”を語ってくれた。 ──アクシデントはありましたが、無事3月11日のオープン戦に登板することができました。
千賀 開幕に向けてという中で、(自主隔離によって)気持ちがプツッとはなったんですけど、もう1回立て直して。登板してみては、ひとまずボチボチかなと思います。
──2022年シーズンは3月25日、3年ぶり3度目の開幕戦のマウンドからスタートします(
日本ハム戦=PayPayドーム)。
千賀 開幕戦のマウンドに対しては、言い方は悪いかもしれませんが、特に何もないんですよね。開幕戦となったらみんな気合が入りますし、もちろん僕も気合が入るので、そこは僕の感情に勝手に任せればいいと思っている。そこで、スーッと冷静にいけるような人間じゃないんで、僕は。ただ、開幕戦のマウンドを託されるのは「1年間、お前、頼むぞ」というメッセージ。それは藤本さん(藤本博史監督)からも言われましたけど、思いがこもっているので。1年間、ちゃんとケガせずにいくというところが、僕の中でのポイントの開幕だと思います。
──開幕投手を決めるにあたっては、藤本監督からは「エースが投げるべき。一番信頼できる投手」という言葉がありました。そういう言葉を受けると、責任感、重みが増すのではないですか。
千賀 そうですね。藤本さんには「水曜日辺りがいいですよ」って言ったんですけどね(笑)。でもやっぱり、そういうふうに言っていただくのはうれしい。うれしい……んですけど、責任や「チームの」という言葉がついてくるので、大変な立場がまた今年も1年間始まるなという印象はあります。1年間どういうふうにやっていくかというところを、自分でしっかりと頭に入れながら開幕のマウンドに立ちたいと思います。
──千賀投手に「シーズンを託す」というのは、工藤公康監督時代から変わらないところでもあります。
千賀 僕が初めて工藤さんに開幕投手に選んでもらったとき(18年)に、「1年間、ちゃんと託す」という気持ちを込めて選んでもらいました。今回も同じような言葉をもらいましたし、あらためて「やらなくちゃいけない」という思いが出てきますね。
──藤本監督いわく、キャンプ初日のブルペンを見て「球の質が違うな」と感じていたそうです。オフシーズンの取り組みの成果もあるのでは。
千賀 ここ2年は本当に最初からよくなかったですし、だからこそ「離脱することなくしっかり1年間回る」という強い気持ちを込めてオフは過ごしていました。
──キャンプはB組(二軍)での調整。かなり千賀投手自身に任されていたようでしたが。
千賀 自分のやろうと思っていたことはできたんじゃないのかなと。僕の中では2月はまだオフみたいな感じでとらえて、1月からやってきたこと、やるべきことを、そのまま継続しながらというところで、いい時間だったと思います。
──今季に向けて、新球・シンカーが注目されています。
千賀 それなんですけど、僕自身はいわゆる「シンカー」という球を投げているとは思っていなくて。昨季も途中で投げていた・・・
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