4年連続チーム防御率リーグ最下位から今季はパ・リーグNO.1のチーム防御率をマークするなど、投手王国復活の兆しを見せているライオンズ投手陣。果たして、いかにして復活を果たしたのか。2020年から指導する豊田清コーチが、その秘密の一端を明かす。 取材・構成=小林光男 写真=桜井ひとし ※記録は8月28日現在 
西武で3年目を迎えた豊田コーチ
ムダな四球を出すことは少なくなってきた
ライオンズ投手陣の課題の一つは四球の多さだった。2020年は477与四球、21年は597与四球。いずれもリーグ最多だった。就任当初から豊田清コーチは四球減に取り組んできたが、ようやく今年それが実を結びつつある。今年はここまで358与四球。パ・リーグで飛び抜けて少ないわけではないが、直近2年と比較すると確実に減少している。 2020年に投手コーチとしてライオンズに復帰して、西口(
西口文也)コーチ(現ファーム監督)と一緒にとにかくムダな四球をなくそうという目標を掲げて取り組んできました。なかなか結果として表れませんでしたが、そこは一貫していましたね。選手を責めることなく、四球を減らすことを心掛けています。コントロールの悪い投手が四球を与えるのはある程度仕方ない、と。ただ、その代わりに「四球で出したランナーをホームにかえすな」という言い方をする。いいボールを投げているのに逃げて四球を出してしまう投手には「打たれるのは気にしなくていい。お前は四球を出す投手じゃないから、どんどん攻めていきなさい」と。そのような感じで今年は指導しています。
まだまだ満足できる結果ではないですけど、本当のムダな四球は減ってきている印象ですね。例えばイニングの先頭にボール、ボール、ボール、ストライク、ストライク、ボールというような形で四球を与えてしまうことが少なくなった。個々の投手が技術的に追い求めていることができつつあるかな、と感じています。
私が現役時代、ライオンズは投手王国と呼ばれていました。だから、当然投手王国を復活させたい気持ちは強いです。その中で昨年、秋季練習がスタートしたときに個々の投手の反省点を洗い出して、オフの間に改善してほしいと伝えました。さらに今春キャンプからは投手王国をつくるための道筋を文面にしてバッテリーで共有。それを事あるごとに選手に話して、頭に刻み込まれるように心掛けてきました。
「投手王国への道」で最初に記したのはキャッチボールを大切にすることです。私は現役時代、「1球」を大切にしていました。それはキャッチボールも同様。1球きちんと投げたら、一つうまくなる。適当に投げたらマイナス1。年間通したらすごい差になりますし、そう思うと1球たりともおろそかにすることはできませんでした。キャッチボールも・・・
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