ここからは、甲子園不出場組の逸材を紹介する。花巻東高・菊池雄星(ブルージェイズ)、同・大谷翔平(エンゼルス)、大船渡高・佐々木朗希(ロッテ)に続き、岩手から怪物が現れた。あと1勝で、聖地の土を踏むことはできなかったがこの夏、確かな足跡を残した。 取材・文=高橋昌江 写真=菅原淳 
2年生スラッガー・佐々木麟太郎を擁する花巻東高との準決勝で2失点完投。気迫の投球が光った
甲子園出場をかけた今夏の岩手大会で2008年以来となる決勝に進出した盛岡中央高。その原動力となったのが最速152キロ右腕・
齋藤響介だ。一関学院高に2対3で敗れ、目標としてきた23年ぶりの甲子園出場は叶わず「少し、悔いはあります」としながらも、「ここまで勝ち上がってくることができ、うれしいです。最後の夏、自分なりのいいピッチングができたと思います」と汗を拭った。プロへの意思表示は「これから考えて決めたいと思います」と明言を避けたが、高校野球を引退して約1カ月の8月23日、県高野連にプロ志望届を提出した。
春の県大会初戦敗退から覚醒した。5月20日に昨秋の県準優勝校・久慈東高と1回戦で対戦し、1対9の8回
コールド敗退。2年夏に最速149キロをマークした右腕を確認しようとNPB7球団11人のスカウトが訪れる中、先発した齋藤は制球が定まらず、8回で12三振を奪ったものの9安打6四球で9失点(自責4)を喫した。「初回から自分のせいで……」と声を詰まらせた齋藤。ストライクとボールがはっきりしていたことで見極められ、「ストレートを張られて打たれた」と反省した。
久慈東高・中村健監督が「齋藤君は県内で一番のピッチャー。速球が打てないと勝負にならないので、一冬をかけてスイングスピードを上げ、ストレートをとらえることを取り組んできたつもりです」と明かしたように、岩手県内では「打倒・齋藤」に燃えていたチームが少なくない。それだけに齋藤は涙をためながらも、「(夏は)張られても打たれない、強い真っすぐを投げたい。その中で・・・
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