攻守走、すべてにおいて、高いレベルで勝負できる潜在能力。日本人の父とフィリピン人の母を持ち、地元で心技体を磨いてきた。公立校でのプレーを選択したのは、理由があった。 文=岡本朋祐 写真=上野弘明 
今夏は1996年以来、4回目の甲子園を目指したが、準決勝でセンバツ出場の大分舞鶴高に敗退。厳しいマークに遭いながらも、四番・中堅として4試合で打率.357、1本塁打、2打点をマークした
右打席に入る際、大きく屈みながら、両腕を広げ、左肩を入れ、投手方向に背番号8を見せるように体をひねる。左手に持つバットは地面と平行で、右腕はヒジを曲げて、肩関節をほぐす。独特のルーティンで、
古川雄大はバッテリーとの18.44メートルで自分の間(ま)をつくっていく。
集中力を研ぎ澄まし、フルスイング。今夏は
廣瀬純(現
広島コーチ)が3年生で在籍していた1996年夏以来の甲子園出場はならなかったが、四番・中堅の古川が、大分大会4強へと導いた。多くのNPBスカウトが最終チェックに訪れる中で、攻守走で高いパフォーマンスを披露。
大分南高との3回戦では、大分大会のメーン会場である別大興産スタジアム(両翼100メートル、中堅122メートル)の左中間に豪快な一発を放った(高校通算21号)。50メートル走6秒フラットの脚力で、少しでもスキがあれば、次塁を果敢に狙う積極走塁も光った。また、俊足を生かした中堅守備も非凡であり、遠投110メートルを誇る強肩を武器に、正確な送球も一つの武器としてある。今夏は登板機会こそなかったものの、マウンドに上がれば、最速141キロの真っすぐを投げる。すべての分野で、見ている人を魅了できる。
地元の公立校を選んだ理由
日本人の父、フィリピン人の母を持つ古川は小学校時代から県選抜チームでプレーするなど、突出した存在だった。中学時代に在籍した佐伯マリンボーイズでは・・・
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