激闘を繰り広げた日本シリーズ全7戦を前西武監督の辻発彦氏が徹底解説。黄金時代の西武、ヤクルトで10度の日本シリーズ経験(日本一7度)を持つ勝つ術を知っている辻氏が勝敗を分けたポイントに迫る。 解説=辻発彦[前西武監督] 
ヤクルトが3点ビハインドで迎えた9回裏、無死一、二塁で代打・内山が見事な同点3ランを放った
10/23(日) 第2戦@神宮球場 □観客数=29,410人 □試合時間=5時間3分 ヤクルト3-3オリックス 
[オ]P山崎福、H山崎颯、H宇田川、Hワゲスパック、阿部、H本田、H比嘉、近藤-C伏見
[ヤ]Pサイスニード、大西、石山、今野、Hマクガフ、H清水、H田口、木澤-C中村
[本]内山壮(ヤ/9回裏3ラン)
先発の
山崎福也から
山崎颯一郎、
宇田川優希、ワゲスパックとヤクルト打線を8回までゼロに抑えたこの試合、オリックスにとっては勝ち切らないといけない試合だった。3対0とオリックスリードで突入した9回裏。しかし、この回から登板の
阿部翔太が先頭の
宮本丈に二塁打を許してしまう。7回に代打で登場していた宮本。フルカウントから3球粘り、9球目の真ん中直球をはじき返した。厳しいボールは食らいついてファウルにし、甘くなった1球を見逃さない。宮本の見事な打撃だった。
この一打が阿部に与えた心理的影響は大きかったと思う。九番から始まった9回裏、2人ランナーを出せば四番・
村上宗隆に回ってしまう。一発が出れば同点という場面で三冠王と対峙するのは避けたい。それが続く
塩見泰隆の打席で表れた。塩見の状態がいいこともあるが、慎重なピッチングに終始した阿部。1、2球目と外角低めにカットボールが外れて2ボール。2年目の今季、シーズンで44試合に登板して22ホールドを挙げ、防御率0.61と見事な成績を残した阿部だが、あんなに変化球が外れるのは見たことがなかった。「この試合は絶対に落とせない」というプレッシャーも強かったのだろう。結局、フルカウントから外角高めに直球が外れ、四球。無死一、二塁とピンチは広がってしまった。
ここで・・・
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