「高校通算本塁打」はオフィシャルの記録ではない。公式戦、練習試合の合計で、あくまでも自己申告の数字だ。主な高校生でトップは早実・清宮幸太郎(現日本ハム)の111本。周囲は騒がしくなるばかりだが、本人はラストチャンスをつかむだけだ。 取材・文=岡本朋祐 写真=矢野寿明 
昨年11月末までに高校通算106本塁打。この数字に興味はないが、ホームランへのこだわりは相当である
あの好感触は、今も手に残っている。
佐々木麟太郎の記念すべき野球人生第1号。野球少年のような飛び切りの笑顔で、江釣子ジュニアスポーツ少年団での思い出を振り返った。
「小学校1年冬から野球を始めたんです。当初は外野手で打順は一、二番を打つことが多く、どちらかと言うと、ヒット狙いのバッター。こんな体、していなかったので……細くはなかったですけどね(苦笑)。食べることが大好きで、小学校4年くらいからブクブク太り始めて……。身長も伸びて、同級生の中でも、頭一つ抜けた存在でした。ポジションも外野手から、捕手に転向しました」
好きな食べ物は寿司、焼き肉。大食漢で、かつては炊飯器の5合のコメを一人で平らげたこともある。小学4年。みるみる成長した佐々木から飛び出した左打席からの一発だった。ボールに力負けしないスイング。当時から現在(183cm113kg)に至るまで、変わらない打者としてのポリシーがある。
「自分のパワーを生み出しているのは、体重だと思っています。最高のパフォーマンスを発揮する上でのベスト体重は模索中ですが、年齢を重ねていくうちに見えてくる、と。武器であるバッティングにフォーカスできる体重を見つけていきたいと思っています」
思い出の初本塁打は、右越えへのアーチであったと記憶している。
「野球人として、この体は遺伝でもあるので、全員が全員、コントロールして、大きくなれるわけではありません。生まれ持って、親からもらった体を、ムダにしてはいけない。そのときに、ロングを打てるバッターになりたいな、と思いました」
英才教育の軸にあった野球
父は2001年9月から花巻東高を率いる佐々木洋監督だ。高校野球の指揮官は・・・
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