特集の最後は、少しお堅いお話を。シーズンも開幕した中で、今季からルール改定となったピッチクロックやシフトの禁止などが、日本人メジャーを通じて話題になっている。ここではもう一度今季のルール改定をおさらいしよう。この記事を読めば、あなたはもうMLB通となるはずだ!! 写真=Getty Images 史上初、大谷が投打でピッチクロック違反
打席で呆気(あっけ)にとられる
大谷翔平。マウンドであぜんとし、イニング終了後に球審に確認作業をする大谷。現地時間4月5日のマリナーズ戦、二刀流で先発し三番に入った大谷は、今季から導入されたピッチクロックに投打で違反してしまった。このピッチクロックって何? という方も多いだろう。
現地時間2022年9月9日、MLB競技委員会は投票を行い、ルール改定を承認したと発表。今季開幕から採用されている。投手は投球までの時間制限が決められ、内野のシフトにも制限が設けられた。さらにベースも従来よりも大きくなるなど4項目で改定となった。
それまで平均試合時間が3時間を超えていたが、開幕から2時間台で終了する試合が多くなった。これこそMLBが推し進めるスピーディーなベースボールだ。だが、問題点も多く残っている中で運用されている。
MLBルール改定 2023年シーズン
【けん制の制限】 ●投手は1打席中2回まではけん制のためにプレートから足を外すことができる。その度にピッチクロックは20秒に戻される。
●3回目のけん制球では、走者をアウトにしない限り、投手はボークを宣告される。
●例外は走者が進塁に成功したときのみ。その場合はけん制球の制限も2回に戻される。
●投手が間を置くため、あるいは息を入れるためにプレートから足を外すことも、1打席中2回までに制限される。
【ピッチクロック】パート1 ●新しいボールを要求時は、ピッチクロックが残り9秒以下になるまでに行わなくてはならない。
●マウンドでの協議時間は30秒まで。計測時間は、監督、コーチ、捕手、あるいは、ほかの野手が投手に近づくために持ち場を離れた瞬間から開始される。
●投手がケガをしたときは審判は協議時間を延長できる。
●トレーナーが診断する場合は無制限となる。もし捕手が投手の下に行き、その後監督やコーチがマウンドに向かう場合、協議時間は20秒に戻される。9イニング目に限り、マウンドに集まる回数は増やすことを許される。
【打者のクロック】 
8秒以内に構えなかったことでストライクコールをされ、三振となるケースも出た
●ピッチクロックが残り8秒以下になる前に、打者は打席に入らなくてはいけない。
●タイムを求めることができる回数は1打席中1回のみ。ルールに違反した打者は1ストライクを宣告される。
【ベースの拡大】 
以前より一回り大きくなったベース
●ベースのサイズが15インチ(約38センチ)四方から18インチ(約46センチ)四方に拡大。
※ベース拡大の目的
1、選手の安全を図るため 2、攻撃の機会を増やすためである。
【ピッチクロック】パート2 
ピッチクロック違反となった大谷は、どの場面からクロックがスタートするのか球審に確認をとった
●投手は、走者がいる場面は20秒以内、走者がいない場面では15秒以内に投球しなくてはいけない。
●時間計測は投手がボールを手にした瞬間から開始される。
●捕手は時間の計測が残り9秒以下になる前に、ホームベース後方にいなくてはならない。
●打者が交代する場面では30秒が与えられる。
●イニング交代か投手交代の場面では2分15秒が与えられる。投手側にピッチクロックの違反があった場合は1ボールが宣告される。
【守備シフトの禁止】 ●内野手は二塁ベースを境に左右2人ずつに分かれなくてはならず、試合中にその位置を変更することはできない。
●内野手は内野のダート部分に両足を置かなくてはいけない。浅いライトの守備位置に内野手は就くことができない。
●ルールに違反した場合、打者が出塁しない限りは1ボールが与えられる。打者が犠牲フライまたはバントの成功時は、攻撃側の監督が、打者が1ボールを得て打席に戻るか、犠打成立のまま試合を続行するかを選択することができる。