頂上決戦で両校の選手たちが繰り広げた計24イニングの熱戦。実況としてともに駆けたアナウンサーがいた。グラウンド、観客席の雰囲気を、甲子園実況20年を超えたベテランは放送席からどう感じ、何を思い、言葉に紡いでいったのか──。 取材・構成=武石来人 写真=日テレイベンツ、BBM 
秋山浩志[元NHKアナウンサー]
自身初の晴れ舞台
2006年の夏の甲子園は開会式を担当し、決勝でも実況と言われて入った大会でした。それまで決勝のテレビ実況はセンバツ2回を担当していましたが、夏はラジオ実況で1回。テレビで夏の甲子園の決勝を実況するのはこの大会が初めてだったわけです。私の甲子園実況デビューは1986年。そこから経験を積み上げ、ついにこの舞台でテレビ実況するときが来て「やるぞっ」と思ったことが心に残っています。私のアナウンサー人生でも記憶に残る大会です。
決勝に勝ち残った駒大苫小牧は、NHKへ入局して初任地が北海道だった私にとって「夏3連覇を目指すなんて強くなったなあ」というのが実感で、前年夏には香田(香田誉士史)監督に優勝インタビューをしていました。一方の早実はセンバツから一段とスケールアップして夏にやってきたなという印象を持っていました。
そんな中で迎えた決勝。それまでお世話になってきた川中彰(元三菱自動車京都監督)さんが解説を担当してくれました。実はこの年が川中さんの解説最後の年でもあり、そこで最高のカードが実現したことに「良い試合になればいいですね」なんて話をして始まった試合でした。
私は、再試合も含めた2試合を実況したわけですが、その中で感じていたのは・・・
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