高校3年春に高校日本代表候補に選出された逸材だった。だが、プロ志望届は提出せずに大学進学。恵まれた環境で心身を磨き、4年で球速は18キロアップした。 取材・文=岡本朋祐 
東洋大は一部復帰した今秋、亜大、日大と開幕から2カード連続で勝ち点を挙げたが、青学大、国学院大とのカードを落とした。中大との最終カードは、最下位回避を目指す戦いにもなる[写真=矢野寿明]
リーグ戦の合間も、多忙な日々を過ごす。各社の取材に応じ、テレビは約半年前から収録する局があり、練習の1日密着も。ドラフト当日は、ピッタリと張り付く企画もあるという。8月28日を境に、
細野晴希の取り巻く環境は激変した。
大学日本代表は高校日本代表との壮行試合(東京ドーム)を戦った。高校日本代表は台湾・台北でのU-18W杯を控え、大学生が胸を貸す場。試合前、細野は名城大・
岩井俊介と打ち合わせをしていた。
「157キロを、どちらが出せるか、と話をしたんです。頑張れば届く数字か、と」
細野は5回表から五番手で登板すると、先頭打者・
小林隼翔(広陵高3年)への空振り三振が、自己最速を1キロ更新する156キロ。次打者の
知花慎之助(沖縄尚学高3年)の空振り三振が157キロ。さらに、
緒方漣(横浜高3年)の1ボール2ストライクからの4球目(ボール)が、158キロを計測した(緒方は右飛)。細野は1回を打者3人で抑え、貫録の投球を披露した。
「自分の最大出力が上がっている手応えがあったので、いつでも(自己最速の)155キロを投げられる体調にはありました。ちょっと力を入れたら、156キロが出たので、これは、と……。最後(の158キロ)は狙っていきました。このボールは高めに抜けましたが、指にかかっていたら160キロは出ていた実感はあります」
とはいえ、細野は冷静に補足する。
「1イニング限定で、このゲームは壮行試合という特別な場。夏場に練習した取り組みを確認するマウンドで、成長を実感しました。スピードガンコンテストではなく、勝利へと導くことが大事になる」
筋肥大、筋力維持を目的としたウエート・トレーニング、体幹強化を継続してきた。走り込みは長くても100メートル。短い距離で、体のキレを出すメニューを消化した成果が出たのである。
「勝てる投手」へ脱皮
東京・東亜学園高時代は最速140キロ。高校日本代表候補37人に選出され・・・
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