伝統球団を強豪へと導いてきたのが、現オーナーのウォルターをはじめとする歴代の偉大なオーナーたちだ。駆け足ではあるが、彼らの足跡を振り返る。 文=奥田秀樹 写真=Getty Images 大谷翔平[右]にユニフォームを着せたのが筆頭オーナーであるマーク・ウォルターだ
大物が顔をそろえる中、決定権はウォルター
ドジャースの筆頭オーナーである64歳のマーク・ウォルターは、メッツのスティーブ・コーエンオーナーとは対照的な人物である。世界的な金融サービス会社を率いて3000億ドルを超える資産を運用しているが、物静かで、プライバシーを重んじ、インタビューなどにはめったに応じることがない。
2012年、投資グループ「グッゲンハイム・ベースボール・マネージメント」を設立し、21億5000万ドルでドジャースの買収に成功、当時プロ球団に付いた値段としては史上最高額だった。しかしながら、「ファンなだけで、野球について決断する資格は自分にはない」と球団運営には口出しせず、オーナーグループの一員であるスタン・カステン球団社長に任せている。カステンはNBAのアトランタ・ホークスのGMを皮切りに、MLBではブレーブス、ナショナルズの球団社長を務めた人物だ。
オーナーグループにはほかに元NBAのマジック・ジョンソン、映画プロデューサーのピーター・グーバー、テニスのビリー・ジーン・キングといった超有名人が顔をそろえ、目立たない。しかしながら、このオフ、大谷翔平、
山本由伸らの獲得に総額12億ドルを超える資金を使ってよいとゴーサインを出したのは、言うまでもなくチェアマン(会長)のウォルターだったのである。
コーエンのように頻繁にメディアに露出し、物議を醸す発言を繰り返し、大型契約ではGMの頭越しに代理人と直接交渉するようなオーナーだと・・・
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