ウォール街のエリート街道を捨て、好きな野球に人生をささげた。データと野球独特の伝統とを融合させ、強いチームをつくり続けている。大谷翔平からも信頼を置かれる“ドジャースの頭脳”は、どういう人生を歩んできたのだろうか。 文=奥田秀樹 写真=Getty Images 
大谷からも絶大な信頼を得ているフリードマン編成本部長。彼の手腕もありドジャースは強豪チームとしてMLBに君臨している
野球界独特の文化にも敬意
アンドリュー・フリードマン。現在47歳。編成本部長を務める彼は、ウォール街の投資銀行出身で頭脳明晰なエリートだった。そこで培ったデータ分析力を応用し、メジャー球団で成功したと言われている。それは間違いではないが、本質的な部分ではない。
実は彼は元野球オタクなのだ。テキサス州ヒューストン出身。子どものころはアストロズ戦で遠征してきたメジャー球団の宿泊ホテルに通い詰め、ロビーで選手たちにサインをねだった。チームがバスで球場に移動すると、自身もアストロドームに向かい練習からずっと観察していた。
球児としても熱かった。フィリーズのレニー・ダイクストラ外野手にあこがれ、一番・センターでハッスル、頭から滑り込み、すぐユニフォームを汚すタイプだった。地元のチューレーン大でもプレーしたが、1年生で左手骨折、さらに三塁に滑って左肩脱臼、選手としての限界を知った。
その後は勉学に励み、投資銀行に就職。金融業界にとどまっていれば富豪になったのかもしれないが・・・
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