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将来性抜群!! 2024ドラフト特集 注目選手CLOSE-UP【高校生編】

健大高崎高・箱山遥人(捕手)『有言実行』を貫く司令塔「春夏連覇。信念はブラさない」

 

今春、健大高崎高は群馬県勢としてセンバツ甲子園で初優勝を果たした。「主将・四番・捕手」と文字どおり、けん引役となったチームリーダーの言動には、多大な影響力があった。将来の日本球界を背負うだけの技術、人としての資質も備わる。
取材・文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

高崎市内の専用グラウンドは両翼95メートル中堅108メートルと恵まれた環境下にある


明大・宗山に共通するメンタル


 全国の有力高校生33人が奈良県内のグラウンドに集結した「侍ジャパンU-18代表候補選手強化合宿」。最終日の4月6日、健大高崎高・箱山遥人が3日間の合宿を総括したコメントが秀逸だった。多くの参加者が同世代の選手を意識していた中で、箱山はその先を行っていた。過去の自分を乗り越え、プロ野球選手と比較しながら、レベルアップに努めると語ったのだ。談話の真意を確認したかった。

「大口をたたいていると思われる方もいるかもしれませんが、高校生における『世代NO.1』が目標ではありません。日本球界のトップになる。大谷翔平さん(ドジャース)のように常に上を見て、今の自分には決して満足しない。この枠組で一番になったからと言っても……。刺激的な環境を設定するようにしています」

 上昇志向が強いメンタルは「2024年のドラフト超目玉」と言われる明大・宗山塁(4年・広陵高)と共通する部分だ。宗山を含めて、大学生4人が侍ジャパントップチームに選出された2月14日に「勝負する気持ちで行きたい」と話していたのが印象的だった。ケガのため、欧州代表との強化試合2戦(3月6、7日)は欠場となったが「ライバルはプロで戦っている選手。特に日本を代表するショートは気になります。そこを追い抜きたいと思っています」と、大学生のレベルを超越していた。

 箱山は4月26日で18歳になったばかりの高校生だが「早いうちから比較するのは大切」と、プロアマに限らず、一流選手のプレーを見て研究を重ねる。「昨日の自分に勝つ」とトレーニングでも前日より本数を1本でも増やすなど日々、重圧をかける。趣味は読書。寮生活では先人たちの教えに目を向け、人間学を学び、脳も活性化させている。

 自らが発信することで、責任が芽生える。今春のセンバツでも大会期間中、取材機会のたびに「日本一を取りに来た」と、繰り返し強調していた。健大高崎高は1回戦から5試合を勝ち上がり、群馬県勢初の春優勝。報徳学園高との決勝で初優勝を決めた直後の場内インタビューで、主将は「有言実行できてうれしいです」と発言した。険しい表情から一転して、ようやく高校生らしい笑顔を見せた。勝負師の司令塔・箱山の生き様である。

捕手として生きる感性


 兄・直暖さん(2019年、福島・聖光学院高で2年夏の甲子園出場)の影響で、保育園年長から野球を始めた。「年上の周りと比べても、身体能力が高かったんです。保育園で器械体操の授業があり、そこで柔軟性、俊敏性が鍛えられたようです。小学校の低学年まではバック宙、バック転もできました」。小学1年になると、2学年上の大会に正捕手として出場した。マスクをかぶるようになったのも、ずば抜けた運動センスが理由。本心をこう語る。

「正直、楽しいポジションではありません(苦笑)。地味ですし……進んでやりたいと思ったことはありません。見せ場はスローイングしかない。中学でも2年時はサードをしていたんですが、肩が強いということで捕手にコンバート。小、中学を通じて走られた記憶はありません。途中からは、企図してこなくなりました」

 経験こそが武器となる“仕事場”だ。箱山には捕手としての潜在能力はもちろんのこと・・・

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