圧倒的な数字を残しているわけではない。それでも、この男がいるだけで、何かが違う。低迷するチームに大きな刺激を与え続けている。 写真=牛島寿人 矢野寿明 
一塁への全力疾走。勝負をかけるべき瞬間は分かっている
沖縄での日々
竜戦士たちが
中田翔と膝を突き合わせたのは2月の沖縄キャンプスタート直前だった。チーム便は愛知・中部国際空港から飛び、背番号6は自宅のあった東京・羽田空港を離陸した。目的地は同じ沖縄・北谷町。到着するやいなや、選手会長の
柳裕也らが発起人となり、同じく新加入の
中島宏之との懇親会が町内の焼き肉店で開かれている。
話題の中心は中田であり、中島。その場で、
涌井秀章が新加入2選手の呼び方の提案をした。「翔ちゃん」と「なかじーさん」。
中田は
巨人時代のニックネーム“大将”を「これまでと一緒だから」という理由で避けたという。中島については今季42歳シーズンだからだろう。場はなごんでいた。多少のアル
コールも入る。ただ、感覚の異なる世代格差はあれども、共通しているのは体育会グループ。そろって「ちゃん」も「じーさん」も浸透はしなかった。
涌井は記者に「試しに翔に『翔ちゃん』って言ってみてくださいよ。たぶん、冗談じゃ済みませんよ(笑)」と妙な提案もしている。中田は「勝つために、試合に出るために名古屋へ来ました。呼ばれ方は何でもええですよ」というスタイル。日にちがたって定着したのは「翔さん」と「ナカジさん」。メディアも巻き込んだ一体感を演出した涌井は竜加入2年目。
大野雄大や
田島慎二ら30歳オーバーのベテランもすぐに受け入れた。開幕まで日にちのある沖縄の日々はゆったり流れた。
オープン戦を経(へ)て、
立浪和義監督は中田の四番を決めた。「打線に1本、柱が通ると言いましょうか・・・
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