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飛翔エール―岩手から大谷君へ―

<Story1>海を渡った『おらほの球児』を追って、メジャー取材を続ける県紙・岩手日報「大谷君の思い、こういう考えだろうというのを情熱的に書きたい」

 

大谷は自然豊かな岩手県奥州市に生まれて幼少のころから野球に親しみ、花巻東高でその類まれな実力を開花させた。世界に羽ばたく大谷の足跡を確かに刻み、その歩みを見守りながら大きな夢をともに見る、岩手の地を訪ねた。
文・写真=相原礼以奈
<Story2>大谷翔平選手ふるさと応援団の想い
<Story3>「握手像」、記念モニュメント

特派員が取材した大谷の活躍を報じる岩手日報紙面


岩手日報、メジャー7年目


 県庁所在地の盛岡市に本社を置き県紙「岩手日報」を発行する岩手日報社は、大谷翔平がメジャー移籍した2018年からアメリカに特派員を派遣して報道を続ける。当初は記者のみだったが、19年に盛岡市出身で花巻東高の先輩に当たる菊池雄星も渡米し、メジャーの舞台で「同郷対決」の実現が現実味を帯びるタイミングで、カメラマンの派遣も開始した。

 歴史的な活躍を見せる選手、さらに同郷の現役真っただ中の選手が2人同時にメジャーでプレーするという稀有(けう)な事態に、現地取材を通して県民に多くを伝えることが派遣の趣旨だ。21年と22年はシーズンフルカバー、そのほかの年は年3〜4回のスポット派遣(1回につき3週間〜1カ月半程度)。これまでに12人の記者と3人のカメラマンを送り、海を渡った「岩手球児」の姿を伝え続けている。

 今年で7年目。これほどの長期にわたり、メジャー・リーグに特派員を送り続ける地方新聞社は珍しい。自社で取材せずとも、通信社から配信される記事を掲載することもできる。岩手日報社も派遣のない時期はその方法で報じているが、では自前で取材を続ける意義とは何か。

 大谷を高校3年から取材し、特派員として18年の3回を皮切りに計9回渡米した、同社編集局報道センター運動部の小田野純一運動部長は言う。

「長く取材を続けているので、大谷君の思い、こういう考えだろうというのを、淡白にならないように、僕は情熱的に書きたいと思っている。結果だけでなく背景も伝えられるように。囲み取材は限定されているが、その中でも違いを自分の目で見ることは大事にしている」

スタジアムの熱を岩手に直送


 試合の空気を視覚的に届けるカメラマンも奮闘。今季開幕時、3月半ばから4月末にかけて小田野部長とともに取材した編集局報道センター報道部の山本毅専任部長(写真担当)は、21年の東京五輪に際し共同通信社に出向して世界のスポーツを撮影した経験豊かなカメラマンだ。

「決定的なシーンはどうしても欲しい部分。ただ、それだけではなく・・・

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