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飛翔エール―岩手から大谷君へ―

<大谷応援ボトル誕生秘話>奥州市唯一の酒蔵の想い

 

岩手県奥州市唯一の酒蔵「岩手銘醸」。地元のスーパースターを日本酒で応援する取り組みについて、専務取締役の及川順也さんに話を聞いた。
取材・文=壁井裕貴 写真提供=岩手銘醸株式会社

[右]打者verは奥州市産米「結の香」100%使用。のど越し良く、香り高くアーチを描く
[左]投手verは奥州市産米「吟ぎんが」100%使用。キレのあるフルーティーな香り


岩手銘醸と大谷


──「奥州ノ龍」の応援ボトルはどのように生まれたのですか?

及川 大谷選手がメジャー・リーグのオールスターに初出場した2021年にお話をいただいたことがきっかけです。ちょうど、弊社がアメリカへ輸出を始めたタイミングでした。現地の取引先から「大谷選手の出身地唯一の酒造メーカーとして、何か応援ボトルみたいなものはできないか?」と相談を受けました。当時の大谷選手はエンゼルス所属だったので、チームカラーの赤を使いたいと。

──赤ボトルの日本酒はあまり見かけないですよね。

及川 そうなんです。私たちの業界では、赤ボトルは既存商品ではありません。そのため、瓶メーカーさんとは約半年かけて、どんな色味の赤にするのか、特注で作ることができるのかどうかを一から相談をさせていただきました。

──色もそうですが、侍のデザインも特徴的ですよね。

及川 海外向けに販売するために海外の方々も分かりやすいデザインにしたいと考えておりました。そうなると海外の方々から見た日本人は“侍”のイメージが強いので、ラベルは侍にしようと決めました。また、せっかくですので、地元・奥州市産のお米だけを使ったものにしたい。そうして侍風のピッチャーとバッターの赤ボトルの組み合わせのお酒が誕生し、22年4月1日に販売することができました。

──ちょうどそのころは新型コロナ禍で飲食店が大変な時期でした。

及川 そうなんです。コロナ禍で、国内の飲食店市場はすごく厳しかった。私たちもお酒がどのくらい売れるか分からない。日本酒はフレッシュさ、新鮮さがすごく大事なお酒です。そのため、どのくらいの量を製造するのか調整は毎年すごく難しかったです。

──会社としても厳しい時期だったのではないでしょうか?

及川 とても厳しい状況でした。ただ、17年から始めた輸出事業で・・・

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