週刊ベースボールONLINE

プロ野球90年特集 華麗なる遊撃手

<プロフェッショナルの視点>伊原春樹(元西武監督ほか)が選出する史上最高の遊撃手は? “平成の牛若丸”恐るべき安定感

 

1980年代中盤から西武黄金時代で内野守備・走塁コーチを務め、内野守備への“審美眼”に間違いはない伊原春樹氏。名指導者に史上最高の遊撃手を問うと、上がってきた名は“トリプルスリー男”西武・松井稼頭央、そして“平成の牛若丸”ロッテ小坂誠だった。
取材・構成=小林光男 写真=BBM

1990年代後半から2000年代前半、ショートの守備でしのぎを削ったロッテ・小坂[上]、西武・松井は、ともに高い身体能力を誇り、あらゆる体勢からでも安定したプレーを見せた


総合力では史上最高に名前が挙がる松井


 まず、大前提としてプロ野球でショートを守る選手は、みんな高い能力を持っていることは間違いありません。ともに戦った仲間で言えば石毛宏典田辺徳雄(元西武ほか)も素晴らしかった。やはり技術があり、身体能力も兼ね備えていなければショートを務めることはできない。その上で、私が目にしてきた中で「史上最高のショート」として思い浮かぶのは2人います。松井稼頭央(元西武ほか)、小坂誠(元ロッテほか)です。1997年から98年、2002年から03年は松井、99年から01年は小坂がゴールデン・グラブ賞を獲得と、パ・リーグで競い合ってきた名ショートですね。

 攻守走の総合力では松井に軍配が上がります。ベストナインは97年から03年まで松井が獲得と独壇場でしたから。私が最初に監督として西武を率いた02年には松井を一番に固定。打率.332、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成してチームを優勝に導く立役者の一人になってくれました。打席に立てば両打席から本塁打をかっ飛ばす強打、塁に出れば次塁を積極的に陥れるスピード、守備に就けば強肩、快足を生かしたパワフルなディフェンス。プロ野球史上歴代ベストナインを選考すれば、ショートで松井の名前が挙がってくるのは確かでしょう。

基本を徹底して送球ミスがない小坂


 ただ、こと守備に限定すれば私は小坂のほうが数段上だと考えています。小坂は非常に堅実な守備。コーチの立場からすると絶対にアウトにしてくれると信頼し切ってしまう守備力を誇っていました。投手にとっても打ち取ったと思った打球をしっかりさばいてくれ、さらに・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング