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プロ野球90年特集 華麗なる遊撃手

<レジェンドインタビュー>宮本慎也(元ヤクルト) 名手が語る遊撃手論「ショートはすべてを良しとしないと勝負できないポジション」

 

内野手の要である遊撃手として歴代11位の1452試合に出場。堅実なプレーを積み重ねて記録した通算遊撃守備率.988は、1000試合以上出場した35選手中、歴代1位の数字である。遊撃手に求められるもの、プロ野球史上最強の遊撃手は誰か──。正真正銘の“守備職人”に数々の疑問をぶつけてみた。
取材・構成=小林篤 写真=BBM


捕球と送球だけじゃない 遊撃手に求められる能力


 遊撃で6度、三塁で4度。19年のプロ野球生活で金色に輝くグラブを手にすること10度。バットを握れば通算2133安打、408犠打。ヤクルト一筋19年で攻守にわたり活躍した。プロ野球90年の歴史でも屈指の好選手が語る「ショートストップ」とは。

──ショートがほかの内野とは違い、特に求められる能力は何だと考えますか。

宮本 身体能力も重要な要素だとは思いますが、ショートは特に「周りを見る力」が求められると思いますね。

──「周りを見る力」ですか。

宮本 内野ならセカンドもそうですが、さまざまな局面に対応しなければなりません。その能力次第では失点が増えることもあれば、減らすこともできます。

──身体能力を頼りにプレーする選手も中にはいるかと思います。

宮本 なんとなくはできると思いますが、一流にはならないんじゃないですかね。

──身体能力だけでは限界がある、と。

宮本 レギュラーを獲り切れない選手というのは、その部分が大きいと思います。身体能力もある程度は持っていないといけないですし、体力も必要なポジションではあります。どれだけいい成績を残しても1カ月に1回はケガをしてしまう選手だとショートを任せることはできませんから。ただ、加えて考える力がなければ務めるのは厳しいかなと思いますね。

──打球を捕って送球するだけが仕事ではないと。

宮本 そうですね。

──宮本さんは二塁、三塁の守備経験もあります。その経験も踏まえて、ショートは大変なポジションでしたか。

宮本 真面目にやれば、ですね。

──真面目でなければ大変ではないと。

宮本 カバーリングを怠る選手も多くいますから。捕手から投手への返球に対して1歩しか動かない選手もいれば、2歩、3歩と動く選手もいる。これを1シーズン続けるとなると大きく変わってきます。また・・・

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