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なぜロッテはファンを夢中にさせるのか MARINESが愛される理由

<あるオールドファンの視点>スージー鈴木 私がマリーンズを愛し続ける理由「ごくごくたまに、夢のような極上体験を味わわせてくれる」

 

なぜマリーンズにファンは魅了されるのか。人それぞれの理由があるにせよ、一例を紹介したい。プロ野球ファンであり、マリーンズファンである音楽評論家のスージー鈴木氏に寄稿してもらった。
文=スージー鈴木(音楽評論家)

昨年のクライマックス・シリーズ・ファーストステージ第3戦[ZOZOマリン]、3点リードされた延長10回裏に藤岡が同点3ラン


「愛し続ける理由」というタイトルにしたのは、その理由が、自分でもいまだにちゃんと分かっていないからだ。

 私が分からないのだから、当然、他人に分かるわけがない。「どうしてマリーンズのファンなんですか?」とよくよく聞かれるが、聞く人の顔には、「どうして(よりもよって)マリーンズ(なんか)のファンに?」と書かれている。

 面倒くさい質問だなと思い、ほとんどの場合、適当にお茶を濁すのだが、今回はいい機会だ。今回は「マリーンズを愛し続ける理由」を、自分なりに真剣に掘り下げてみたいと思う。


「千葉デビュー」のファンとして


ロッテオリオンズ」のファンだったわけではない。完全なる「マリーンズ・デビュー」である。つまりは川崎ではなく「千葉デビュー」だ。

 1970年代、小学生時代は東大阪に住んで、田淵幸一掛布雅之に熱狂する、普通のタイガースファンだった。しかし80年代に入る寸前に、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)と出会い、体育会系なんてダサい、プロ野球やプロレスなんて見ている場合じゃないと真剣に思い始め(思春期というのは怖しい)、文化系少年として音楽に傾倒。これが音楽評論家への第一歩。

 しかし時が経ち、90年代に入り、広告会社に就職してから突如、また野球に目覚めてしまう。理由としては、80年代に首ったけになった音楽が「Jポップ」の時代となって面白くなく思えてきたことがある(広告マンとして、当時ヒット量産装置だったCMタイアップの裏側を見たことも影響した)。

 対して、イチローという若者がヒットを打ちまくり、野茂英雄がメジャーリーグで大活躍。「プロ野球のほうが、Jポップとやらよりロックンロールやろ」と思って野球にハマり出し、近藤唯之の本を読みまくり、見聞を広める。

 どこのファンになろうか。出来上がったイメージのチームではなく、ビギナー/にわかでも、軽い気持ちで忍び込めそうなところはないかしら──。

 そこで、千葉に来てまだ数年、まだまだ何の色も付いていない、無色透明な新球団に見えたマリーンズを選んだ。

 具体的には95年からのファンだ。この年のマリーンズは、初芝清堀幸一フリオ・フランコに、小宮山悟伊良部秀輝エリック・ヒルマンという布陣で2位に躍進。監督のボビー・バレンタインの言動や、新しいユニフォームも含め、ちょっと垢抜けた新球団というイメージも加勢したと思う。

 私は、マリーンズのファンになることにした・・・

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