今大会に彩りを加える選手を紹介しよう。連覇に挑むトヨタ自動車には野球史に名を刻む、人呼んで『ミスター社会人野球』なる投手がいる。1人は区切りの夏を、1人は通過点の夏を迎える。 取材・文=小林篤 写真=桜井ひとし、BBM 
佐竹功年[トヨタ自動車/投手]
野球で会社を元気にする社会人野球としての使命
日に日に近づくピリオドに「びっくりするくらい何も変わらない」と笑うのはトヨタ自動車の佐竹功年。今夏の都市対抗を最後に現役を引退する、40歳のベテラン投手だ。
「トヨタの従業員のために、地域のために、ファンのために結果を出すのが仕事なので」
2006年に入社し、今季19年目。独特なテークバックから繰り出す精緻なコントロールを武器に長年エースを務めてきた。初優勝した16年の都市対抗では4戦30回1失点、2完封を含む4勝の快投で橋戸賞を受賞。14年に続き2度目の社会人タイトル3冠(ベストナイン、最多勝、最優秀防御率)に輝いた。日本選手権でも14年にMVPにあたる最高殊勲選手賞に輝くなど6度の優勝に貢献。日の丸を背負いプレーするなど、活躍を挙げればきりがない。
『ミスター社会人野球』と称される右腕だが、この世界でやっていけると思うことができたのは入社4、5年目ごろだと言う。壁を一つ乗り越えて、自分のボールに自信が持てるようになった。引退が迫る今、越えたい壁はチームが未だ成し遂げていない都市対抗連覇。だが、「僕が投げないで勝つのならそれでいい。もちろん準備を怠ることはないですが、何でもかんでもマウンドに上がりたい気持ちは昔からないです」と言う。トヨタ自動車として昨年、2度目の都市対抗制覇は登板がなく歓喜の輪に加わっている。手にしたいのは、登板機会よりも勝利の2文字だ。
「プロ野球は1年間通しての成績が出るので、個人の目標も立てやすいかと思いますが、僕ら(社会人野球)は負けた瞬間に終わり。個人の目標は立てづらい。極論を言えば・・・
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