2年連続最下位という雌伏の時を乗り越え、開幕から上位争いに食らいつき、Aクラスをうかがう戦いを繰り広げる今季。就任3年目にして新庄剛志監督にはどんな変化があるのか。その真価はどこにあるのか。野球解説者の鶴岡慎也氏がひも解く。 取材・構成=杉浦多夢 写真=高原由佳、BBM
※成績・情報は7月21日現在 CHECK1 3年目における采配の変化
3年目のシーズンを迎えた新庄剛志監督の采配には明確な変化が見られると思います。昨年まではいわゆる「奇抜」と言われるような采配、ダブルスチールであったり満塁でエンドランを仕掛けたり、スクイズを1打席で2度仕掛けたりと、あの手この手を繰り出していました。しかし、今季はオーソドックスというか、選手の力を信じて「任せた」という采配が増えています。監督に就任してからの2年間で育ててきた選手に託している、だから動かない、という雰囲気が伝わってきます。
もちろん、動くときには動いているのですが、昨年までのような過剰さはありません。逆に昨年まではいろいろと仕掛けていたため、相手のバッテリーやベンチが新庄采配を警戒するがゆえに、バッターに集中し切れていないと感じる場面もあります。昨年までの采配が、そうした形で生きているのかなと思います。
そうしたオーソドックスな采配を振るえるのは、各選手の能力のベースが上がっているからです。
まずはシンプルに選手層です。選手の調子やコンディションに応じて使い分ける選択肢が、高いレベルで増えました。「あの選手もいい、この選手もいい」となれば、相手のピッチャーとの相性や左右に応じた選手起用ができますし、策を弄するのではなく、素直に打たせることが良い結果に結びついていきます。
もうひとつは新庄監督の戦術に対する選手たちの理解度が上がったことです。「この場面ではこうしたサインが出る」「今日の試合でこうした起用をされるということは、こんなことを期待されている」「このピッチャー相手なら、こういうバッティングをしてほしいのだろう」。そうした新庄監督の意図を察知して、実行することができるようになっている。2年間で新庄采配が浸透し、選手たちもどう応えるべきかを分かっているので、ベンチから無理に選手たちを動かす必要が少なくなっているのだと思います。
一方で・・・
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