指揮官からの絶大なる信頼は、今季も変わることはない。役割の変化、ケガからの復活――。それぞれに課題を抱えながらも、自然体でチームをけん引している。6年ぶりのリーグ優勝へ、ベテランの力はさらに大きな意味を持つ。 ※成績など情報は9月1日現在、年齢は2024年の満年齢、年数はNPB在籍 菊池涼介[内野手/34歳/右右/13年目]
【2024成績】109試合、82安打8本塁打29打点1盗塁、打率.226
取り戻した存在感
プレーボールを控えたベンチ前、円陣の中心でベテランの声が響き渡った。
「矢野(
矢野雅哉)さん今日、お願いしますよ! 声。出てないですから。みんなでカバーし合って。行きますよ!」
8月28日の
中日戦(バンテリン)の試合前、菊池涼介がナインに向けた言葉だ。前夜の同カード、矢野の2つの守備のミスから逆転負け。同試合は矢野のミスだけでなく、相手の好投手・
高橋宏斗の攻略の糸口を探ろうと打線は4度も犠打を試みて、成功は一度だけ。円陣の言葉は矢野に向けたものだったが、「バントミスとか、いろいろあった中で負けるべくして負けた」と、危機感を募らせたベテランが自ら買って出た“声出し”だった。
矢野がミスを重ねた夜、菊池は食事に誘い出した。「俺も1年間で19失策したから(2年目の2013年)。大事な場面でエラーもいっぱいしてきた。これから、まだ何百回ってそういうことあるよ。そんなことでシュンとなってても意味ないよ」。昨季とはまた違った立場で経験する優勝争いの見えない重圧に押しつぶされそうな後輩に優しく手を差し伸べた。
「僕も出始めたころ、1試合に3つエラーしたりとか。そういうときに・・・
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