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<ポストシーズン展望COLUMN>悪夢を振り払うために4年ぶりVさえ通過点

 


 優勝セレモニーから幾ばくかの時間が過ぎても、東京ドームからJR水道橋駅西口へと向かう後楽園ブリッジにはジャイアンツのユニフォームをまとったファンの姿が数多く残っていた。だが、つい先刻、セレモニーが終わってグラウンドから選手の姿が消えても応援歌が流れ続けていたスタンドに、色濃く残っていた優勝の余韻は、そこにはなかった。

「次はホークスに──」

ソフトバンクには──」

 駅までものの数分の道すがら、少なくとも2度、そんな会話が耳に入ってきた。ファンたちは2019、20年の日本シリーズにおける惨劇を忘れていない、いや忘れることができない。4年ぶりのリーグ優勝を果たした今、次はリベンジを果たすことで頭がいっぱいなのだろう。

 もちろんチームの思いも同じはずだ。阿部慎之助監督の「これからが本当の勝負。厳しい戦いが待っている。日本シリーズに進んで、ここ(東京ドーム)で日本一の報告ができるように」というセレモニーでのファンへのメッセージは、お決まりの文句ではあるものの、言葉の持つ意味は重い。

 屈辱の日本シリーズ8連敗――。19、20年とソフトバンク相手に2年続けてひとつの白星さえ奪うことができなかった。だからファンたちは、三度、日本シリーズの舞台でソフトバンクと相まみえ、今度こそ歓喜の瞬間を迎えることしか考えていないのだろう。

 もちろん、阪神DeNAの勝者と戦うクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが簡単な戦いになるとは思っていない。パ・リーグ覇者のソフトバンクが日本シリーズに進んでくるとは限らない。それでも、すべては通過点なのだ。4年ぶりのリーグ優勝でさえ、そうだ。CS突破、日本シリーズでの11年ぶりの勝利──そう、最後に日本シリーズで勝利を手にしたのは13年、楽天との第6戦までさかのぼらなければならない──すべてを通過点にしなければ、8連敗の悪夢を払拭するチャンスさえ手に入らない。

 これから始まる「本当の勝負」「厳しい戦い」をクリアした先に、12年ぶりの日本一という待ち望んだ栄誉が待っている。そしてその時が、再び「常勝軍団」という称号を取り戻すための第一歩となる。(文=杉浦多夢[巨人担当])

■2000年以降の日本シリーズ成績
2000 対ダイエー 4勝2敗
2002 対西武 4勝0敗
2008 対西武 3勝4敗
2009 対日本ハム 4勝2敗
2012 対日本ハム 4勝2敗
2013 対楽天 3勝4敗
2019 対ソフトバンク 0勝4敗
2020 対ソフトバンク 0勝4敗
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