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2024大谷翔平特集 自らのバット&足で偉大なるシーズンへ

<大谷の盗塁の秘密を探る>荒木雅博に聞く 盗塁のスペシャリストからの視点「相手投手の呼吸を読んで走っている」

 

ここからは達成した「50-50」の「盗塁」に焦点を当てていく。2024年の大谷は自己最多26(2021年)から59と大幅にその数を増やした。失敗はわずかに4つで成功率は93.7%。なぜこれだけの数字を残せたのか!? プロ野球歴代11位の通算378盗塁を誇る荒木雅博氏に大谷の盗塁の進化について聞いた。
取材・構成=壁井裕貴 写真=Getty Images

相手投手のリズムを理解して盗塁をしている大谷。自身が投手をしているからこそ分かることがあるのかもしれない


大前提は事前準備


 盗塁を増やしていく、成功させるために必要なことは、言うまでもないですが、いいスタートを切ることです。そのためには、相手投手のことを知る準備が一番大切になります。私が現役時代にしていたことは、大きく分けて2つあります。1つ目はなにかしらの違い、クセを見つけることです。私はそのために、ひたすら相手投手の映像を見続けて、ランナー一塁にいるときの投手の動きを観察し続けました。例えば、けん制するときは肩から動く、キャッチャーのほうを見たらホームに投げるといった“予備動作”にどんなことがあるのか。

 また、相手投手の傾向を調べることもします。どんなボールでストライクを取ってくるのかといったカウント球はもちろんのこと、変化球はどういうときに使うことが多いのか、投手の持ち球の使い方まで把握します。このように私は貪欲に何かしらのクセがないかを探し続けました。

 2つ目は相手の投げるリズムを知ることです。投手の息遣いや投げ出すタイミングも注意深く観察していました。そういうところが分かれば、スタートを切るのが簡単になり、盗塁を増やしていきやすくなります。ただ、これはとても難しいです。ですので、1つ目に言ったクセをなんでもいいから貪欲に見つけていくことが盗塁をする上で大切なことです。

 ここまで準備をする理由は、盗塁するためにしっかりとした根拠を持つためです。どのくらいの割合でクセが出るのか。それも・・・

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