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2024ドラフト直前展望 注目選手クローズアップ【大学生BIG4の動向】

明大・宗山塁(内野手) 20年に一人の即戦力遊撃手「人と同じことをしていても、違いを出せる選手にはなれない」

 

2024年のドラフトは大学生が軸である。中でも今年3月、侍ジャパントップチームに招集された4選手は、NPBスカウトから1位評価を受けている。「大学生BIG4」。まずは、1位入札競合が確実視される、打てるショートストップである。
取材・文=岡本朋祐 写真=矢野寿明

明大では不動の三番・遊撃を任されてきた。広角に打ち分ける打撃。通算10本塁打が示すように、スタンドインも可能だ


早大・鳥谷敬以来の大物


 秋のリーグ戦開幕2日前。明大の活動拠点である内海・島岡ボールパークのスタンド下の本部室で話を聞いた。宗山は「20年に一人の遊撃手」と言われる。しかも「即戦力」である。それは、なぜか。

 2000年から03年まで早大に在籍した鳥谷敬は在学中、8シーズン、全96試合で先発出場した。2年春に三冠王に輝き、4年秋には2度目の首位打者を獲得。遊撃手部門で5度のベストナインに輝き、打率.333(345打数115安打)、11本塁打、71打点と一時代を築いた。同じ右投げ左打ちの宗山も、負けていない。1年春の途中から遊撃の定位置を獲得し、2年春に首位打者となり、ベストナインは3度受賞。今秋の3カードを終え、83試合、打率347(326打数113安打)、10本塁打、58打点。コロナ禍で1年春、秋は10試合制であったため、単純比較はできないが、鳥谷に匹敵する数字だ。「20年に一人」をどう受け止めているか。

「たまに言われますが……。自分からはあまり(報道を)目にすることはないので……。良い意味で、人と違う行いをすることを、ずっと考えてきました。人と同じことをしていても、違いを出せる選手にはなれないと思うので、そう評価していただけるのは、うれしく思います」

 3年秋までに東京六大学リーグ戦94安打。歴代1位の明大・高山俊(24年はオイシックス新潟でプレー)の131安打の記録更新に、注目が集まっていた。ところが、ドラフトを控えた学生ラストイヤーはアクシデントの連続だった。24年の対外試合初戦となった2月29日、明治安田とのオープン戦で死球を受けた。同14日に井端弘和監督が率いる侍ジャパントップチームへの招集が決定しており、3月5日にチームに合流したが、右肩甲骨骨折が判明。欧州代表との強化試合2戦を欠場し、帰京後に再度、診察を受けると全治3カ月の診断を受けた。春絶望かと思われたが、奇跡的な回復力で間に合わせた。しかし、2カードを終え、第5週を控えた空き週のオープン戦で右手中指第一関節を骨折。残り8試合を欠場も、主将という影響力から、メンバーから外れず、ベンチから鼓舞した。同春は4安打で、通算98安打で足踏みした。

 2、3年時には侍ジャパン大学代表に名を連ね、堀井哲也監督(慶大監督)は今年1月の段階から「宗山のチーム」と期待を寄せていたが、無念の選考外となった。秋の完全復活へ調整を重ねてきた。

離脱期間にパワーアップ


 9月21日、一発回答を出した。秋の開幕戦となった東大1回戦で、千両役者ぶりを披露。0対0の9回表。一死走者なしから高めのストレートを右翼席へ運んだ。待望の先制点。開幕試合で硬さが見られた打線も、主将の一打で目が覚めたのか、この回、打者14人で10得点を挙げた。神宮でのアーチは、2年秋の立大2回戦以来。リーグ戦通算9号は、99安打目だった。「打った瞬間の感覚が、違うものがありました。久しぶりに出たな、と。ホームランを狙って打てるバッターではありません。コンタクトする力が自分の良さ。思い切り振った中で率を上げる。まずは、1本打てたのは良かった」。

 神宮球場のネット裏ではNPB10球団が視察した。スカウトコメントから「20年に一人の遊撃手」を確認できる・・・

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