毎年、日本一を目指す強豪校に、2025年は「二枚看板」を擁する。お互いが刺激し合い、一つずつステップを踏んできた。背番号1を着けるエースと主将の2人が、甲子園での王座奪還を狙っている。 取材・文=沢井史 190cmの角度が武器
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森は今夏の2回戦[対小松大谷高]で先発し、7回2失点で敗戦投手。甲子園の借りは、甲子園で返すしかない[写真=宮原和也]
最速151キロ右腕の森陽樹、149キロ右腕の中野大虎。1年秋からマウンドを分け合い、切磋琢磨を続けてきたダブル右腕がいよいよ高校ラストイヤーに向け歩み出した。今夏、東海大大阪仰星高との大阪大会決勝で先発した森が15奪三振1失点の快投で甲子園へ導くと、中野は興南高との甲子園1回戦で先発し4安打完封勝利。交互に結果を残しながら、互いに実力を高め合う間柄でもある。
今春、夏の甲子園で背番号1を着けた平嶋桂知からエース番号を継いだのは森だった。この秋、公式戦で初めて先発した八尾高との5回戦では、7回11奪三振と好投した。3ボールになる場面が幾度かあり、7回には一死満塁のピンチを招いたが、最後は得意の直球で2者連続三振に斬って取り、無失点に封じた。
夏の甲子園から戻り、新チームが始動してから、まず森が取り組んだのは体力強化。「1から体を作っていこうと思ってご飯を多めに食べていました」。夏からは体重2kgアップで90kg。太もも付近がやや大きくなり、体幹が分厚くなったように映る。最上級生となり、自分がやらなければ、という意識は一層強くなった。
「マウンドを任されれば、自分は抑えるだけです。自分が失点しなければ、チームは負けない。力感なくどれだけ強いボールが投げられるかを意識しています」
聖心ウルスラ聡明中時代から軟式球で143キロを計測し、全国舞台でも活躍。多くの強豪校から注目された大器は大阪桐蔭高に入学し、昨秋の府大会で151キロを計測。190cmの長身から投げ下ろす直球には角度があり、初見ではとらえにくい。スプリット、カットボールなど精度も高く・・・
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