週刊ベースボールONLINE

2025ドラフト注目選手CLOSE-UP【高校生編】

京都国際高・西村一毅(投手) 頂点つかんだ伝家の宝刀「もっと成長して、夏は全員で甲子園に優勝旗を返しに行く」

 

京都国際高は今夏の甲子園で、初の全国制覇を遂げた。3年生左腕・中崎琉生と2本柱を形成した2年生サウスポーは2完封を含む、24回1失点で優勝の原動力となった。武器はチェンジアップ。高校卒業後は「公務員志望」だったが「野球継続」へと覚悟を示している。
取材・文=沢井史 写真=太田裕史

今秋は京都府大会4回戦敗退。夏一本に向けて練習を重ねている


フルカウントからの一球


 全国3441チームの頂点に立った。初の全国制覇を果たした今夏の甲子園で、西村一毅は全6試合のうち4試合に登板。計24イニングを投げ1失点(自責点0)、14奪三振。2完封を含め、防御率0.00と圧巻の数字を残した。得意のチェンジアップを駆使し、圧巻のマウンドを披露した夏を振り返ると、苦笑いを浮かべた。

「決勝でバントされた場面で自分がエラーをしてしまったんですけれど、それは悔しかったです」

 関東第一高との決勝は0対0のまま決着がつかず、延長に入った。京都国際高はタイブレークの10回表に2点を挙げ、その裏、エース左腕・中崎琉生を受けて、2年生・西村が救援した。無死一、二塁で、八番・市川歩のバントを西村が捕球ミスし、無死満塁。次打者の遊ゴロで1点を返されるも、一死一、三塁。次打者に四球を与え、一死満塁と絶体絶命の状況も後続2人を抑えた。最後は得意のチェンジアップで空振り三振で締めた。

 準決勝まで23イニング連続無失点。初戦敗退を喫したセンバツではベンチ外で、今夏の甲子園デビューとは思えないほど、終始冷静なマウンドさばきを見せた。初登板となった新潟産大付高との2回戦は「気持ちが前のめりになってしまった」と6四球を与えるも、3安打完封勝利。智弁学園高との準々決勝も、1回、8回以外は走者を背負うも、あと1本を許さず6安打されながら2試合連続のシャットアウト勝利を遂げた。

 青森山田高との準決勝は0対2の劣勢だった5回からマウンドに立ち、先頭打者に安打を許すも無失点で切り抜け6回に3点を挙げる逆転の流れを呼び込んだ。

「普段から小牧さん(小牧憲継、監督)に、二死満塁でフルカウントの場面で、ストライクを投げ込めないと甲子園では勝てないと言われてきて、そのとおりの場面が決勝であったので……。結果として(満塁のピンチを)抑えられたのは良かった」

 言葉を選びながら、ゆっくりと話す表情に独特の雰囲気が漂う。小牧監督は西村の人物像について「つかみどころがないし、マイワールドを持っている」と一言。甲子園での取材でも、記者からの質問に対し自分の間合いで独特の空気感を出しながら応じる姿が印象的だった。

高みを目指し進路変更


 西村の名が広まり始めたのは、今春の京都府大会。6試合中5試合に登板して経験を積み、近畿大会でも緩急をうまく使い、明石商高との1回戦では7回1失点で完投勝利。智弁和歌山高との決勝でも・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング