オリックス時代の入団3年目から先発ローテーション投手として14年間、腕を振り続けてきた。今季、史上94人目の2000投球回に到達した。地味であるが偉大な記録。現役投手としては、ドラフト3位で入団して2000回を達成したのはこの右腕のみ。ケガを未然に防ぎながら、試合をつくり続けてきた勲章でもある。まさに無事是名馬というところだ。 取材・構成=椎屋博幸 写真=BBM 
14年間先発ローテを守ってきた自負がある。そして目標に向け、来季も多くのイニングを投げていく[写真=宮原和也]
仕事は試合をつくる
6月21日のDeNA戦(甲子園)の初回を無失点に抑えた西勇輝は、史上94人目の2000投球回を達成した。初登板は2009年9月21日の楽天戦(Kスタ宮城)。16年間、マウンドに上がり続けた証しでもある。通過点の数字だが、到達するためには監督の信頼も必要で、チームに欠かせない存在でないと、このイニングの達成は難しい。イニング数=信頼とも言えるだろう。 ──2000投球回を達成しました。
西 はい。無事に到達しました。オリックス時代、コーチだった星野(
星野伸之)さんから「2000回投げて一流」と言われていたので、(達成でき)よかったです。
──到達までは短かったですか、長かったでしょうか、どちらでしょう。
西 短かったとは思わなかったです。長く感じました。16年間、大きなケガなく……本当にそこが達成の大きな要因ですね。大きなケガになる前に防止できてきた、という表現が一番ふさわしいです。
──若いときにいろいろなことを考えて、実戦に取り入れ、それが実を結んで、ここまできたと思います。
西 自分が考えていたことが体現できるようになったのは先発ローテをさせてもらってから4年目くらいですね。そこまではいろいろと考えてやっていました。
──先発で4年なら、すでに500イニングは投げています。
西 500回投げたからと言って、その後、10年間投げられるとは限らないです。このときも1年、1年、勝負という思いで投げていました。当時のオリックスは先発陣が確定されてはいませんでしたから。先発メンバーも入れ替わりが激しかったという感じで、そこで1年間勝負という気持ちで投げ続けていました。当時は確実に投げていたのは金子(
金子千尋)さんくらいでしたので。
──その中で、自分の投球スタイルを確立していったのですね。
西 もともと自分の投球スタイルもなかったですし、思考の数も少なかった。1年、また1年とローテを守れていく中で、徐々に自分の軸ができてきて、ブレなくなったなあ、と。
──先発ローテを守り続けるプレッシャーや不安というものは出てきましたか。
西 今でも毎試合、マウンドに上がるときは目に見えない不安というのがあるんです。そこと戦いながら・・・
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