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高まる熱量、思い無限大 それぞれの「開幕」

<審判員編>森健次郎(NPB審判長) 一つの物語の始まり「心配することなく堂々と、権限を持って各試合に臨んでほしい」

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プレーボールの手が挙がって、試合は初めて動き出す。審判員の立場でも、シーズン開幕は特別なものだったという。グラウンドでのプレーを公正に、正確にジャッジする仕事。その奥深さと開幕への思いを聞いた。
取材・文=相原礼以奈

3月28日、広島阪神の開幕戦[マツダ広島]に臨む審判団。日々研さんを積み、選手とともに1年間戦い抜く[写真=井沢雄一郎]


グラウンドの警察官


 日本野球機構(NPB)審判長の主な仕事は、56人の現役審判員の配置を決定し、リストを作ることだ。スーパーバイザー5人の報告を受け、自身も現場に足を運んで各審判員の状況を把握。担当チームが偏らないことなども考慮しながら試合の配置を決める。2022年シーズンで現役を退き、23年から現職に就いた森健次郎審判長は、毎年テーマを持って仕事に臨んでいる。

「例えば『今年はこの人をちょっと強く育てたい、頑張らせたい』などの思いが、配置表に出てくる。それが開幕戦かは別として。例えば開幕戦の次は裏開幕、次の本拠地でこれもまた大事なカードになるので、その絡みも考えつつ」

 シーズンを通しての方針を決めて動き始めるだけに、開幕に対する思いは強い。シーズン中に起こる、さまざまな事態に備える必要もある。

「一つの物語の始まりのような感じです。最終的にはクライマックスシリーズ、日本シリーズにつながる、その第一歩が開幕戦。当然、シーズンを通していいことばかりが起きるわけではなく、不可抗力による審判員のトラブルなどもあるので、それに対する処置も私の仕事の一部です」

 開幕を目前に控えた3月半ばには、現場で動くクルーチーフや班長に対して心構えを指示、確認する機会も持った。「正しい服装をする」なども大切な徹底事項の一つだ。

「公共の場に遠征等に行った場合は、そこにふさわしい服装や、言動・行動・態度をするようにと。当然のことのようですが、私は、審判の職責はグラウンド上のいわば・・・

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