本誌で「ユニフォーム物語 令和の完全版」を連載中であり、プロ野球のユニフォーム研究についての第一人者であるコラムニスト・綱島理友氏とイラストレーター・イワヰマサタカ氏の黄金コンビに、昨今のユニフォーム事情について、マニアックに語り合ってもらった。 取材・構成=落合修一 写真=小河原友信 
綱島理友[左]とイワヰマサタカ
ビジター用はグレー
――まず、今年のユニフォーム界ではどこに注目していますか。
綱島 巨人と
阪神。伝統を大事にした原点回帰の傾向はいいね。ティファニーがデザインした巨人のビジター用が、今は気に入っていますね。
イワヰ モノトーンの。
綱島 色をあまり使っていなくて、それが逆にすごくカッコいい。
イワヰ 帽子の「TG」のマークも今までと違う感じで。
綱島 最初に出たとき、ニューエラの人に「絶対に売れるよ」と言ったんだよ。ファンにとっては「待ってました」という感じじゃないの。阪神はビジター用の帽子がグレー基調。
イワヰ 今までにないパターンでしたね。逆はあっても。
綱島 あれは球団創設のときのスタイルなんだよね。創設時は帽子のマークがなかったけどね。一応、ホームの縦縞は帽子も縞で、ツバが白。今、再現してもサマにならないかな。
イワヰ ユニフォームも縦縞のラインが薄くて、主張していなかったですよね。
綱島 初代のユニフォームはとにかく縦縞が薄かったので、写真によっては真っ白のユニフォームに見える。でも、間違いなく縦縞の日本プロ野球第1号は阪神。ほかの球団はやっていなかったから。阪神は創立時からのスタイルを大事にしているのが素晴らしい。まさに伝統球団。縦縞と言えば、
ロッテのホーム用もすでに立派な伝統になりつつあるような気がします。
イワヰ 1995年からなので、今年で30周年なんですよね。
綱島 ピンストライプは毎日オリオンズもそうだったので、先祖返りなんだよね。95年に登場したときは、毎日時代からのオールドファンが歓喜したとか。今年のビジター用はグレーやめちゃったんだっけ?
イワヰ 今のビジター用は、上だけ黒ですね。グレーはイベント用で。
綱島 ビジター用はグレーがいいよね。今はそういう気がする。
イワヰ やはり、プロ野球のビジターユニフォームとしては王道の色ですからね。
綱島 アメリカのビジター用で割と流行しているのが、パウダーブルー。でも、日本ではグレーのほうがおしゃれかなという感じがする。
イワヰ 今は昇華プリント全盛になりましたね。
綱島 半分くらいは昇華プリントになっちゃった。でも、日本のメーカーのマークの技術って、すごいんだよね。細かくて丁寧で美しい。
イワヰ 刺しゅうですよね。
綱島 ああいう技術が消えていくのだとしたら残念です。歴史的には、1960年代くらいまでの刺しゅうはひどかったけどね。図柄に統一感がなくバラバラで、稚拙だった。
イワヰ そうでしたね。背番号の数字の形もおかしいのがありました。
綱島 それが、70年代くらいにキレイになってきて、90年代の刺しゅうの素晴らしさ。ユニフォームを見て、工芸品を見るように感動していた。
イワヰ 昇華プリントになると、そういう文化が消えるわけですね。
綱島 アメリカもシティコネクトとかはどうかと思うけど、ホーム、ビジターのレギュラーはちゃんと野球のユニフォームを好きな人がデザインしているような気がする。
イワヰ そうですね。
綱島 日本だと・・・
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