2023年のWBCで3大会ぶり3度目の世界一となった侍ジャパンにおいて、大谷翔平(ドジャース)の大活躍が記憶に新しい。しかし、このチームの屋台骨を背負ったのは、3月の宮崎合宿から合流したダルビッシュ有だった。惜しみなく自身の知識や経験を伝え、未来の日本野球界へ大きな財産を残した。 文=田中政行(デイリースポーツ) 写真=Getty Images 
若手が多い侍ジャパンを一つにまとめ上げ「ダルビッシュ・ジャパン」として日本を世界一へと導いた
ベテラン右腕を編成の中心に
マイアミ空港を飛び立った飛行機が上昇中にいきなり激しく揺れた。長くこの仕事に就いているが、過去、味わったことないほどの振動。それは侍ジャパンを追いかけた1カ月間、目で見た驚きの光景、肌で感じた衝撃の連続とリンクするようだ。疲れているはずの体を高揚感が包む。終わった。野球の神様が導いたクライマックス。先発の
今永昇太からダルビッシュ有がつなぎ、大谷翔平が締めるジャパン最上級のリレー。漫画でも描くことないラストは、マイク・トラウトの登場で伝説になった。
「今回はダルビッシュ・ジャパンと言っていいくらいに、彼がやってくれたことは自分のことはさておき、チームのことだったり、野球のため、将来のためでした。5年、10年が過ぎたときに、日本球界のためになるのは間違いない。ダルビッシュ選手には本当に感謝しています」
スター軍団を率いた
栗山英樹監督は一言、ひと言、かみ締めるように振り返った。代表監督とチームの精神的支柱……これまでの2人は、すれ違った野球人生だった。
日本ハムの監督に就任した2012年、ダルビッシュはポスティングシステムを利用してメジャーに移籍した。夢をかなえるための決断。野球人として理解しても、チームを預かる新監督の責務がある。前年のオフシーズンだ。一方的に交わした“約束”があった・・・
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