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2025ファイターズ特集 9年ぶりVへの航路

日本ハム・稲葉篤紀(ファーム監督)が語る『育成論』 戦力を底上げするファームの役割「プロ野球選手として、社会人として、人間性を育てていくことを大事にしています」

 

万波中正田宮裕涼水谷瞬ら「ミレニアム世代」や、達孝太柳川大晟福島蓮らの2003年度組など、若い選手が次々と台頭する現在の日本ハム。リーグきっての育成力を誇る二軍を統括する稲葉ファーム監督に、育成システム、そして育成におけるモットーを語ってもらった。
取材・構成=佐野知香 写真=兼村竜介、桜井ひとし、BBM

日本ハム・稲葉篤紀[ファーム監督]


さまざまな角度から育成方針を決定


 昨年からの好調の要因の一つとして挙げられるのが、選手層の厚さだ。昨年までは万波中正、水野達稀、田宮裕涼、水谷瞬と野手の台頭が目立っていたが、今季は先発では達孝太をはじめ、細野晴希、福島蓮、リリーフでは柳川大晟と若き投手陣が一軍で結果を残し始めている。

 先発“ゆとり”ローテーションも、スタメン総入れ替えも、戦力が豊富だからこそできること。今年の支配下新加入は新人6人を除くと、FA移籍の福谷浩司、現役ドラフトで加入の吉田賢吾、新助っ人の古林睿煬の3人のみということを鑑みれば、戦力強化はまさに「育成力」の賜物だと言える。育成の現場を統括して2年目になる稲葉篤紀ファーム監督は、ファームの方針について次のように語る。

「基本的には、その選手の能力の最大化を求めています。いきなり試合で結果を残すことを目的にするのではなく、その選手が3年後、5年後に日本一のチームのレギュラーになっているというところから逆算して、ではその選手をどうやって育てていくか、今何を優先すべきかを考えていきます。

 当然、高卒、大卒、社会人卒でその道筋は全く違いますし、同じ年齢であっても基礎的なことの理解度や、やれることのレベルは異なります。なので、選手それぞれで練習メニューは全然違います。とはいっても、結局何人かは一緒のメニューに取り組むことになるんですけど、その中でも個々の課題があって、それに取り組むことでそれぞれの能力をしっかり上げていくという方針になっています」

 その方向性を決める場が、月に一度の「育成会議」だ。背番号を背負うコーチ陣だけでなく、育成コーディネータートレーナーやS&Cコーチ、栄養士、アナリストなどスタッフが一同に会し、意見を出し合いながら各選手の育成方針を決めていく。

「昔は、コーチのほうが立場が上でトレーナーは立場が下、だからコーチがすべての方針を決めるといった風潮があったかと思います。でも、今のチームはそれぞれが専門家として、平等の立場でさまざまなことを言って選手を育てるというシステムになっています。僕も時には『こうしてほしい』という要望を伝えますが、基本的にはお任せしています。やはり専門のコーチですから、担当する物事については権限も責任も持ってもらいたいと思っているので。

 その育成会議で、さまざまな方向から選手を見て『この技術を高めよう』とか『今は技術練習はこのくらいにしておいて体づくりに時間をかけよう』といったように、何に比重を置いて取り組んでいくかを決めて、それを選手に伝えていきます。そのほかにも、ピッチャーは試合の次の日にどうだったかの振り返りがありますし、一軍から二軍に降りてきた選手も、一軍の試合はどうだったか、二軍では何をやっていくかといった話し合いも丁寧に行ってくれているので、ミーティングは日々かなりの数を行っていることになると思います」

 このミーティングこそが、日本ハムの育成力の核だ。4年目の投手・福島は今季序盤に調子を崩し、二軍戦でも負けが続いた。そこで、各スタッフが勢ぞろいし、福島を復調させるための緊急会議が行われた。そこで決められた方針に沿ってトレーニングに取り組んだ福島は6月に二軍で3勝を挙げ、7月13日のオリックス戦(エスコンF)で今季一軍初登板を果たし、5回無失点で白星を挙げている。

 そうした明確な方針があるからこそ、コーチ、スタッフ間の情報共有が重要になる。

「ウチは投手コーチ、打撃コーチは各3人いますが、それぞれがどの選手を見るといった担当は設けていません。だからこそ・・・

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