
優勝直後の戎橋の様子
優勝直後は一瞬の緊張感
9月5日の
広島戦を迎えた時点で、
阪神の貯金は30で、優勝マジック4。ペナントレースで圧倒的な強さを見せた猛虎軍団が甲子園に戻ってくると、関西では“そのとき”へ向けて着々と準備が進められていた。
1985年に阪神が21年ぶりのリーグ優勝を果たした際には、ファンの手によってケンタッキーフライドチキンのマスコット、カーネル・サンダース人形が道頓堀川に投げ込まれ、そのまま行方知れずになったという前例がある。2年後に最下位へ転落すると、そこから長い低迷期が続きファンの間では「カーネル・サンダースの呪い」とささやかれた。対策として、大阪市中央区の串かつだるま道頓堀店では店頭に設置された「だるま大臣」の人形に救命胴衣を着用。万が一の事態に備えた。

救命胴衣を着用した「だるま大臣」
道頓堀川に飛び込むのが人形ならまだしも、人間だと大惨事を招く。
2003年の18年ぶりのリーグ優勝時には5000人以上がダイブし、死者が出た。近年はコンプライアンスも厳しくなり、一昔前よりは落ち着きつつあったが23年の優勝時には26人がダイブした。二度と悲劇を繰り返さないため、マジック1で迎えた7日の広島戦の試合前には、夕方から御堂筋に警察車両がズラリと並んだ。

御堂筋には警察車両がズラリと並んだ
大阪府警は約1000人の警備員を動員し、スロープや遊歩道の立ち入りを制限した。戎橋は一方通行で警察官が隙間なく列を作り、絶えず「立ち止まらず、お進みください!」と拡声器で呼びかける。

シートが張られ橋上からの飛び込みや撮影を防止する
人海戦術が功を奏し、通行人はスマートフォンを頭上に掲げながら歩くのみ。人の流れはスムーズだった。
それでも阪神が2点リードの9回表、守護神・
岩崎優がマウンドに上がったころから、戎橋付近はザワザワし始める。アウトカウントが増えると「あと1人」
コールも沸き起こった。優勝を決めた直後には、人口密度がグッと増した。一瞬、緊張感は高まったが、戎橋で大きな混乱はなく、危険な時間帯を乗り切った。

優勝してからしばらく経過。戎橋付近の警備は強化された
侵入可能となっていたエリアの遊歩道から10人ほどが飛び込んだと見られるが、喧騒そのものは例年よりも控えめだったようだ。厳重な警備体制に加えて、阪神の優勝が2年ぶりと、その間隔が短かったことが要因のようだ。とはいえ、阪神優勝は地元・関西にとっては大ニュース。深夜まで、7度目の歓喜に沸いた。(取材・文・写真=小中翔太)

日本一早いマジック点灯で有名な尼崎中央商店街。マジック1で迎えた9月7日は、盛り上がりを見せた