2大会連続での世界一には届かなかったが、国際舞台で記憶に残るアピールを見せた。大会後、群馬に戻った9月18日にプロ志望届を提出。2025年の高校野球を盛り上げた158キロ右腕は、次のステージへと向かう。 取材・文=沢井史、写真=福地和男 
アメリカとの決勝では4回途中から救援。5回に制球を乱して追加点を奪われたが、7回まで無安打に抑えた。球場表示で156キロ、トラックマンでは157.9キロを計測した
文句なしのナンバーワン
U-18W杯の初登板となった一次ラウンドの韓国戦。先発し、4回を4安打2失点と粘投した
末吉良丞(沖縄尚学高2年)からバ
トンを受けた。2点リードの5回からマウンドに立った
石垣元気の真っすぐは投球練習時から150キロ超えを連発した。生で石垣のストレートを見た沖縄の野球ファンを、早くもざわつかせていた。迎えた九番打者を四球で歩かせたが、この回に球速は154キロをマーク。さらに二番打者に死球を与えピンチを広げるも後続2人を断ち、7回まで3イニングを投げ、1安打無失点で世界デビューを“初セーブ”で飾った。
韓国の先発右腕は最速157キロの速球を武器とするパク・ジュンヒョン。今年のKBOドラフトの全体1位ともささやかれている注目の剛腕を前に、石垣の胸は高鳴った。
「相手は身長が高くて、自分にないものを持っているので少し力が入りましたが、抑えられて良かったです」
石垣と言えば剛速球に目が行きがちだが、この日、目を引いたのは緩球の使い方だ。ストレートに対応しきれていない相手打線を見て、力で押しがちになるところを、139キロのカットボールやフォークなどで幻惑させた。前日のブルペンから「下半身で粘れると思ったので」と、ノーワインドアップに変えたことも功を奏した。うまく力を出し入れしながら凡打を築いたこの3イニングには、石垣の進化が詰め込まれていた。
韓国戦ではMLBのスカウトもスタンドに陣取り、両右腕のマウンドを見守った。あるMLB関係者は石垣のピッチングを見て、パク・ジュンヒョンと遜色ないとコメントしていた。視察した北関東を担当する
巨人・大場豊千スカウトは、この日の石垣についてこう述べていた。
「センバツ前に左脇腹を痛めて以降、ここまで順調に来ていると思います。今日は8割の力でも力で押し込めていたと思いますし、変化球の精度も投げるごとに上がっています。今日もカットボールが140キロ台のものもありました。カーブなど、緩急の使い方もいいですし、間違いなく今年の高校生のナンバーワン投手だと思います」
今春のセンバツ直前の練習試合で左脇腹を痛め、以降の試合では限られたイニングでのパフォーマンスとなっていた。今夏の甲子園の2回戦(対京都国際高)では四番手投手として7回からマウンドに上がり、2安打無失点。スピードは154キロを記録したが、県大会では投げたイニング数が2試合で計5イニングと少なく、「長いイニングは投げられるのか」など不安視する者も少なくなかった。この日も3イニングではあったが、7イニング制の今大会から見れば十分な投球内容であり、成長を印象づけた。
経験したことのない球質
バッテリーを組んだ横山悠(山梨学院高3年)の左手の親指の付け根付近には試合後・・・
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