ゲームメーク能力に長ける注目の即戦力投手だ。甲子園出場経験はなく、大学では二部リーグにも在籍。華々しい経歴こそないが、着実に成長を遂げてきた。マウンド上で表情を崩さぬポーカーフェイスの左腕は、人生の岐路を前にしても、気持ちが揺らぐことはない。 取材・文=佐々木亨 
直球、変化球ともに制球は安定。冷静なマウンドさばきも光るサウスポーだ[写真=川口洋邦]
好転してきた野球人生
柔らかさがあり、いい意味で力感のないピッチングと同じように、
竹丸和幸はいつだって自然体だ。自身の性格は「大雑把」と表現する。何物にも左右されない。何事も割り切って考えるタイプなのだという。「休みの日は……よく寝ている」という彼は、オンとオフをはっきりとさせながら、あくまでも自然な感覚を貫く。
プロ野球のドラフト会議を前に、竹丸は12球団と面談を行った。評価の高さがうかがえる。それでも、少しだけプロに近づく実感が湧きつつも、彼はやはり落ち着いているのだ。
「僕が(球団を)選ぶわけではないので、特に大きな気持ちの変化はありません。変わらないですね」
マウンドでは、静けさを持ちながら、ゆったりと始動する。左腕を振り抜き、最大出力でボールをリリースする投球フォームは、
広島県の矢賀小4年時に投手を始めたころから、大まかな部分は変わっていないという。投球フォームで大事にしているのは流れの中で投げること。竹丸の野球人生は、まさに「流れ」に乗って好転してきた。「四番手投手だった」と振り返る崇徳高時代。3年夏の広島大会を終え、卒業後のことを決めるときもそうだった。野球が嫌いなわけではない。ただ、野球を続けるかどうかの判断が定まっていなかった時期があった。
「高校の監督さんと進路の話をしたときに『城西大はどう?』と言われて。そこも僕にとっては大きかった」
そして、竹丸にとって最大の転機は「社会人野球で先発を任せられるようになったこと」だと言う。竹丸の魅力は、どの球種でも容易にストライクを取れる、いわば制球力の良さだ。それを最大限に、あるいは効果的に使いながら、先発としての立ち位置を確立してきた。最速150キロのストレートに加え、カーブ、スライダー、チェンジアップ、カットボールといった変化球を自由自在に操る中で、まずはきれいなマウンドで、ゲームの始まりを伝える一球を投じる。
「それが先発の魅力でもあります」
4年秋に・・・
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