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2025ドラフト総決算 運命の「10.23」

<2025ドラフト総括>抽選回数以上の熱狂と興奮 リスク承知の特大サプライズ 2球団競合の佐々木麟太郎はソフトバンクが交渉権獲得!!

 

午後5時から始まったドラフト会議。支配下は7時過ぎに終わり、全体の指名人数が120人に達していなかったため、続いて育成ドラフトが行われた。運命の一日を振り返っていく。

スタンフォード大・佐々木はDeNAソフトバンクが競合。ソフトバンク・城島CBO[右]が交渉権を獲得し、こん身のガッツポーズを見せた[写真=兼村竜介]


果敢に挑んだ意味


 1位入札のアナウンスが読み上げられるたびに、有観客である会場のボルテージは高まっていく。ロッテが競合必至の石垣元気(健大高崎高)を指名したのに続き、広島が公表どおりに今ドラフトの目玉である立石正広(創価大)を指名して拍手が大きくなると、8番目のオリックスも石垣を指名して初の重複となり、どよめきが起こる。だが直後、それまでがさざなみであったかのように音量が一気に上がった。

「第1巡選択希望選手、横浜DeNA、佐々木麟太郎、内野手、スタンフォード大学」

 佐々木の指名に大きなリスクが伴うことは、もちろん誰もが承知している。貴重な「1位」の指名枠を失うことになるかもしれない。それでも果敢にチャレンジした意味を分かっているからこそ、ファンの大きなどよめきは収まらない。日本ハム阪神と立て続けに立石を指名して3球団競合となっても、どこか上の空であるかのように佐々木指名の余韻が残ったまま。そして、ソフトバンクがやはり佐々木を指名して重複、抽選が確定すると、会場は爆発した。

加速する日米の綱引き


 最初に抽選が行われたのは石垣。オリックス・岸田護監督との「五分五分」の勝負にロッテのサブロー新監督が勝利する。

健大高崎高・石垣にはロッテとオリックスが重複。就任したばかりのロッテ・サブロー監督が引き当てた。右はオリックス・岸田監督[写真=高原由佳]


 続いて広島、日本ハム、阪神の3球団が競合した立石は、日本ハム・新庄剛志監督がクジを胸に当てて天を見上げるパフォーマンスをする中で、阪神の藤川球児監督が新庄監督を横目で見やりながら、悠然と右手を挙げた。

創価大・立石には広島、日本ハム、阪神の3球団が競合し、阪神・藤川監督が交渉権を手にした[写真=高原由佳]


 そして注目の佐々木の抽選。壇上にはDeNAの相川亮二新監督と、日本シリーズ対応もあって欠席した小久保裕紀監督に代わりソフトバンクの城島健司チーフベースボールオフィサー(CBO)が上がる。「(王貞治)会長のプレッシャーが半端なかった」という緊張感の中で城島CBOが当たりクジをつかむと、まず王会長のいる球団のテーブルに向けてガッツポーズを見せながら、右手を高々と突き上げ、会場は大きな拍手に包まれた。

 2回目1巡目入札でも平川(仙台大)が広島と日本ハムで重複。新庄監督に代わって登壇した日本ハムの木田優夫GM代行が天を仰ぎ、交渉権は広島・新井貴浩監督の手に渡った。

第2回1巡目指名では仙台大・平川に広島と日本ハムが競合。広島・新井監督が交渉権を獲得している[写真=兼村竜介]


 結局、今ドラフトでは計4回の抽選が行われたものの、佐々木の指名&重複という特大のサプライズがあったことで、抽選回数以上の熱狂と興奮が生まれたことは確かだ。

 その後は2位指名から12球団が参加した育成ドラフトまで順調に進んでいったものの、オリックスが6位でジョージア大の左腕である石川ケニーを指名。佐々木に続きアメリカ留学中の2人が指名されることになった。石川は佐々木同様に来年7月のMLBドラフトを視野に入れているが、オリックスが果敢に攻めていった形だ。日本トップクラスのアマチュア選手が活躍の場を海外に求める傾向が増しているのは確かだが、NPBも人材の流出に手をこまねいているわけではない。グローバル化の流れと日米による綱引きは、今後も加速していきそうだ。

同一チームから複数の1位指名


 最終的に支配下73人、育成43人の計116人がプロの世界に飛び込むことになった。その中で存在感を見せたのが大学生。支配下73人のうち実に40人が大学生で、高校生19人と独立リーグを含めた社会人14人を合わせた33人を上回る形となった。支配下ドラフトでの大学生40人は史上最多となる中で、明大は西武・小島大河、日本ハム・大川慈英という2人の1位を輩出し、毛利海大もロッテから2位指名を受けて連続指名を16年連続に伸ばしている。また、青学大は中西聖輝、小田康一郎と2人が1位指名。2023、24年に続いて3年連続での同一チームから複数の1位指名だ。

 過去には1985年にPL学園高の清原和博(西武)、桑田真澄(巨人)が1位指名され、同校では87年に立浪和義(中日)、橋本清(巨人)が1位指名、2021年には市和歌山高で小園健太(DeNA)、松川虎生(ロッテ)が1位で指名されたケースがある。青学大から複数の選手が1位指名されたのは1996年の井口忠仁(ダイエー)、清水将海(ロッテ)、澤崎俊和(広島)が指名されたのが初で計4度目。1チームから最も多く1位指名されたのは3人(68年の法大、69年の早大、77年の法大、82年の法大、2010年の早大)がある。

 昨年から二軍に参加しているオイシックスから能登嵩都が阪神5位、牧野憲伸が中日育成1位、知念大成が巨人育成5位とイースタンでの実績を評価された一方で、元ロッテ・渡辺俊介氏を父に持つ東大のサブマリン右腕・渡辺向輝、大阪桐蔭高のエース・中野大虎、立大の外野手・山形球道らは指名漏れとなった。

 今ドラフトで指名を受けた選手たちの中から、果たして誰がNPBの舞台で輝きをさらに増していくのか。アメリカに留学中のスタンフォード大・佐々木の今後の動向を含め、その行く末から目が離せない。
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