育ててもらったホークスのために尽力する。2024年11月に就任した城島健司CBOは、王貞治会長が思い描くチーム像を具現化。今季は5年ぶりの日本一で結実したが、チーム強化に終わりはない。恩返しはまだまだ続く。 文=久保安秀(西日本新聞社) 
10月23日のドラフト会議。ソフトバンク・城島CBO[右]はDeNAと重複したスタンフォード大・佐々木麟太郎を引き当てた[左はDeNA・相川新監督]。当たりクジを、後ろに控えていた王会長に向けてアピールした[写真=兼村竜介、高原由佳]
勝負師の血
10月23日、ドラフト会議の会場を埋めたファンと関係者が見守る中、ソフトバンク・城島健司チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)は、残った封筒を右手で引き上げた。ドラフト1位は「スタンフォード大 佐々木麟太郎内野手」。封を開くまでの短い静寂は、どよめきと歓声で破られた。その当たりクジを後ろに控えた王貞治会長にアピールしながら、どうだと言わんばかりの表情。直後、会場でのインタビューで「王会長のプレッシャーがすごくて……」と笑いを誘った。
勝負師としての血が騒いだ。競合を想定しつつも、確率は高くないと予想していたが、2球団での抽選に。クジを引き合うのはDeNA
相川亮二新監督。同じ1976年生まれで、現役時代も同じ捕手。「残り物に福がありましたね」。興奮を抑えるようにこみ上げる喜びを表現した。ただ、大変なのはこれから。「彼の場合はイレギュラーで(大学のリーグ戦が終わる)来年の夏まで見守らないといけない。ドラフト1位で縁がなくても、彼が素晴らしい選手だと評価をした上で、そのリスクを背負ってでも欲しい選手。ドラフト1位で指名したのがメッセージなので十分、伝わっていると思う」。
海の向こうにいる佐々木選手に熱意が伝わることを意識しながら、強い思いを言葉にした。その5日後、10月28日には、岩手県花巻市の花巻東高を訪問。佐々木の父で、同校野球部監督の洋さんに指名あいさつを行った。その後、ホークスの5年ぶり日本一を見届けて渡米。11月4日(日本時間5日)にスタンフォード大野球部施設を訪れて、佐々木本人とも直接会い、王会長と城島CBOのサインが入った交渉権獲得と書かれた“当たりクジ”を手渡した。
2024年11月21日、CBO就任の会見で抱負をこう話した。「20年後、30年後に、王さんがつくったチームをつなげたい」。CBOとしてコーチングを指導するコーディネーターの統括、一軍監督アドバイザー、編成業務など球団運営の一角を担う。「現場がチャレンジしていることをフロントが理解し、未来につなげていくのが僕の仕事」。小久保監督とより広く深く立体的に連係しながら、現場の今と未来を描き、つないでいく。ホークスのCBOとして最大のミッションを「王イズム継承」に据えた。
運命の歯車
幼少期から憧れた王さんとの出会いは1991年、平成3年4月14日にさかのぼる。長崎県佐世保市の佐世保球場で開催された少年野球教室だった。当時、相浦中3年生の城島少年はティー打撃で王さんから直接指導され、「甲子園に出てこいよ」とまで言われたという。その感激は高校球児になっても消えない。甲子園出場こそかなわなかったが、別府大付高(現・明豊高)で成長し、駒大への進学も決定。ところが・・・
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