2009年、13年と2大会連続で投手コーチを務め、ブルペン担当として世界に誇る投手陣を束ねた。2大会を戦い抜いたからこそ分かったこと、再びの世界一をつかむためには何が必要なのか。投手コーチの視点から話を聞いた。 取材・構成=佐野知香 写真=Getty Images、BBM 
09年WBCは先発から抑えに回ったダルビッシュ有が最後を締め、2大会連続の世界一が決まった
我慢と過信は禁物 変化への対応
これは投手に限ったことではありませんが、やはり大事になってくるのは適応力。短期決戦の国際大会。昔ほどではありませんが、ボールやマウンドの違い、また球数制限や今回から導入されるピッチコムやピッチクロック、それこそ決勝ラウンドに進めば時差、食事、言葉など、シーズンとは違った環境の下でどれだけアジャストし、その中で自分の力を出していけるか。
それは起用法も同じこと。先発でも球数制限を気にしてのマウンドになり、シーズンにはない第2先発という役割も出てくる。リリーフを先発に回すことはありませんが、その逆は場合によっては十分にあるわけです。実際、2009年のWBCでは先発だったダルビッシュ有を抑えに配置転換しました。抑えを予定していた
藤川球児が悪かったわけではありませんが、戦う中で本来の力が発揮できていないと判断し、ほかにも抑え候補がいる中でダルビッシュに白羽の矢を立てたわけです。ダルビッシュは「NO」と言わず、チームのために決断し、世界一の胴上げ投手になりました。その適応力は素晴らしかったと思います。
シーズン中と違って、WBCでは我慢の継投は必要ありません。ですからどうしても早め早めの継投にならざるを得ず、投手の調子が上がってくるのを待っている余裕などないということ。期待値の数字を長く持っていると命取りになりかねないのです。「せめてあと1人だけ抑えてくれれば」とか「次の頭からはこの投手で行きたいから、なんとかこの回だけでも」というのはシーズン中ならともかく、WBCでは危険。勝ち上がれば勝ち上がるほどそうなり、期待値よりも目先の現実を見ていく必要があります。相手は勝手知ったる連中、ではありません。にもかかわらず、行けるだろう、大丈夫だろう、と投手の力を過信して期待してはいけない。早い継投がすべてとは言いませんが、勝手な思い込みで我慢しているとやられます。
そう言えば13年のWBCでは決勝ラウンドでサンフランシスコに着いたとき、用具が届いていなくて練習が始められないことがありました。決して故意的だったとは思いませんが・・・
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