2018年、ドラフト1位候補にも挙がった社会人屈指の右腕はさまざまな事情があり、選択肢が一つしかなくなった。野球を続ける上で、後悔は一つもない。現在は自らが得た経験をもとに、後進の指導に勤しんでいる。 取材・文=小中翔太 写真=Getty Images、小中翔太 
ダイヤモンドバックス傘下の1Aに在籍した2021年10月、アリゾナ州スコッツデールで行われた試合で力投
密かに抱いていた野望
NPBを経ずにアメリカへ。そのルートはアマチュア有望選手にとって選択肢の一つになりつつある。直接渡米が現在よりさらに馴染みのなかった2018年にも、海を渡った投手がいた。当時パナソニックのエースで、ドラフト1位候補にも挙がっていた
吉川峻平だ。ただし、吉川の場合は逆風の中での挑戦だった。
もともとは内野手で、高校2年夏に投手転向。大学4年時に大学日本代表に選ばれた経験がきっかけで、プロを目指すようになった。社会人1年目は主要大会で好投し、アピールに成功。プロ解禁となる大卒2年目、ダイヤモンドバックスのスカウトからアプローチを受ける。実は、最終的にアメリカで引退するという野望を、心の中に抱いていた。ほとんど誰にも話したことがなかった夢の実現、チャンスに胸は高鳴った。
「社会人からNPBに行ったら、アメリカに行けるのも30歳を越えたりしますし、それでしたらまだ、伸びしろを感じているうちにマイナーから上がってメジャー行ったほうが絶対、自分の人生的には面白いと思ったんです。NPBに行って、アメリカに行けなくなるぐらいだったら、アメリカ行ってメジャーに上がれずに引退したほうがいい。どっちのルートも失敗したというふうに仮定して、どちらの後悔が少ないかを考えると、アメリカで失敗したと言うほうが、納得できそうだったので、そちらを選んだっていう感じです」
しかし、社会人野球を統括する日本野球連盟の所属選手は前年のドラフト終了から都市対抗終了までプロ球団と交渉できず、プロ球団と契約締結する場合は・・・
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