ここで外部のファンから見た「スワローズ監督論」を聞いてみる。芸人、YouTuberとして活躍中の兵頭てつ兄さんは名門校での野球経験があり、一時はドラフト候補とも言われた野球人であり、熱狂的なスワローズファン。そんな兵頭てつ兄さんが見た、歴代のヤクルト監督とは――。年齢の関係で野村克也監督以降になるが、歴代監督論を展開してもらった。 ■野村克也監督論[1]「人の能力を見極める力」
スワローズの歴代監督を振り返って、真っ先に浮かぶのはやっぱり野村克也監督ですね。強いヤクルトのイメージをつくったのはあの人だと思うんです。
何がすごかったのかと言うと、よく野球では三番、四番、五番が固まっていたとか、クリーンアップがしっかりしていたとか言いますけど、僕はそれよりも「ライン」が大事だと思っていて、特にセンターとキャッチャー、この2つがものすごく大きいんですよ。センターがしっかりしていれば外野守備は全然変わってくるし、逆にセンターが弱いとライトとレフトの負担が増える。キャッチャーが弱ければ投手陣も守りも締まらない。そういう意味で、センターに
飯田哲也さんがいて、キャッチャーに
古田敦也さんがいたというのが、実に大きかったと思います。
しかも野村監督は、その軸をただ並べたんじゃなくて、ちゃんと育てて、機能させて、長く回したんですよね。投手陣も
川崎憲次郎さん、
伊藤智仁さん、
石井一久さんと、主になる人間がきちんとそろっていた。長年ヤクルトが強かった理由の一つは、中心になる選手を明確にして、そこをブレさせなかったことだと思います。
飯田さんは当初、捕手として入団して、そこから二塁手、さらに中堅手になったわけですけど、普通なら捕手でうまくいかなかった時点で終わりにするところを、足の速さや肩の強さを別の場所で生かす。これはなかなかできることじゃないですよ。適材適所という言葉で片づければ簡単ですけど、この人はどこなら生きるかというのを見極める力が、野村さんは本当に抜けていたんだと思います。
今のプロ野球を見ていると、いろいろな選手をあまりにも使い過ぎるチームが多いですよね。もちろんユーティリティープレーヤーがいることは悪いことじゃないし、複数ポジションを守れることは今の時代、重要でもあります。その一方で、全部のポジションが決まっていない、レギュラーが見えないチームは、やっぱり強くなりきれないと思うんです。選手からしても、どこで勝負するのかが曖昧だとしんどい部分がある。野村監督の時代のヤクルトは、専門職として育てることの大事さをちゃんと分かっていたし、そこが今との違いかなと思います。
しかもあのころのヤクルトって、神宮球場を本拠地にしながら投手陣が良かったんですよ。チーム防御率3点台の年が多かった。今のヤクルトのイメージからすると、これはかなりすごいことです。神宮で抑えていたというだけでも価値がある。
もちろん古田さんというキャッチャーの存在が大きかったのは間違いないでしょうね。今の時代、球界全体を見ても「この人が絶対的な正捕手だ」と言い切れる存在がなかなかいない。WBCを見ていてもそうでした。昔は古田さんや谷繁(
谷繁元信、元横浜ほか)さんのように、そこにいるのが当たり前という捕手がいたけれど、今はそうではない。だからこそ捕手の重要性が分かるし、野村監督が捕手出身だったからこそ、そこを最重要の軸としてチームをつくったのは本当にうまかったと思います。
センターラインという意味では、二塁手と遊撃手はどうだったのかという話になりますけど、僕の中では、そこが圧倒的だったという印象はそこまで強くないんです。
池山(
池山隆寛)さんは打撃の印象が強いし、土橋(
土橋勝征)さんも後半は上位を打つようになって存在感を増したけど、野村監督の前半はまだサブ的な立ち位置でした。二塁手に
パリデス、
レックス・ハドラー、桜井(
桜井伸一)といった名前が出てきたころは、完全に固まり切っていない。しかし、それでも投手、捕手、中堅手の3つはブレず、揺るがなかった。そこがブレないだけで、野球ってここまで勝てるんだなと感じさせられましたね。
■野村克也監督論[2]「補強が的確だった」
ただ、もちろんいいことばかりでもない。投手陣は良かったけれど・・・
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