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2016ファイターズ 栄光の記憶

【2016日本ハム指揮官インタビュー】栗山英樹 “勝ち切る”ことの意味「勝つこと、優勝するしかない。それ以外は何もいらない」

 

ファイターズ史上最多勝監督となる指揮官にとっても、あまりに特別なシーズンだったことは間違いない。衝撃的な2位に終わった前年を経て、頂点に立つことのみを見据えて挑んだ2016年。自ら“伝説”と称することになる1年を振り返る。
取材・構成=杉浦多夢 写真=高原由佳、BBM


“二刀流”の真価


 前年の2015年、17もの貯金を積み重ねながら、優勝したソフトバンクに12ゲームという大差をつけられて2位に終わる衝撃を味わった。何勝するかではない、貯金の数は関係ない、いかにライバルたちを最終的に上回ることができるか。そのための起爆剤であり、チームの軸となったのが“リアル”を解除した投打二刀流、大谷翔平だった。

──2016年シーズンを迎えるにあたっての心境はどんなものでしたか。

栗山 昨年のファイターズも同じような形になりましたけど(貯金26で2位)、前年の15年は貯金が17ありました。シーズンによっては優勝してもおかしくない。僕の監督1年目、12年に優勝したときの貯金(15)より多い状態で、大きく離されての2位だった。あそこまで貯金を増やしながら勝っていっても、優勝争いという形にはならなかった。圧倒的にホークスに先を行かれた。それは個人的に非常に大きな意味を持っていました。要するに、いくつ勝つかということではなくて、6チームの中で1位になるということが大事なんだとあらためて感じた15年シーズンでした。だから16年というのは、もう2位も3位もいらない、優勝しかいらないという思いで、本当に勝負に行ったシーズンです。

──15年までは勝利の追求と育成を両輪で求めてきた中で、勝利の追求に舵を切ったのでしょうか。

栗山 育成を捨てたわけではまったくなくて、もちろん16年も育成と勝利の両方を成し遂げるという思いは変わっていませんでした。ただ“本当の育成”を成し遂げるためにも、勝ち切らなければいけないシーズンだった。12年に優勝して、チームが一度壊されて、新しい形で若い選手たちが前に進んでいた中で、16年は勝ち切ることによって選手が育つというシーズンでしたね。

──戦前の思いとは裏腹に開幕からソフトバンクが走る形となり、6月下旬には最大11.5ゲーム差をつけられてしまいました。その時点で逆転するイメージはあったのでしょうか。

栗山 大谷翔平が軸のチームとなっていく中で、開幕からなかなか勝ち切れないゲームが続いていましたからね。自分たちの野球ができている中でゲーム差が開いたというわけではなかったので、僕はあきらめていませんでした。どんなに差があってもひっくり返すための策を練る、それしかありませんでしたから。さすがに8月中旬くらいの時点でそういう状況であれば残りの試合数を考えると難しいですけど、まだオールスター前でしたしね。確かに11.5ゲームまで開くとは思っていませんでしたけど、短い間に開いたということは、逆に同じ期間でひっくり返すこともできる。それを信じてやっていました。

──初めて11.5ゲーム差となった翌日の6月19日(中日戦、ナゴヤドーム)から球団新の15連勝。逆転Vへ向けた大きなきっかけとなりました。

栗山 一番大きかったのが交流戦に入る直前、翔平をリアル二刀流にしたことです。話をしていても、どうしても投げるときはバッターの感覚が消えてしまう、「(投げるときは)打てないですよ」みたいな感じだったので二刀流をリアルにしていなかったのですが、翔平らしさが全然出ていないと感じていました。でも、彼が彼らしく本当に突っ走らないと、逆転なんかできない。最終的に気づいたのが、もっと彼に大きな負荷を掛ける、難しいことをたくさんやるということ。一つひとつ丁寧にやるのではなくて、もっと追い込んだほうがむしろ本能は引き出されるだろうということで“リアル”に持っていった。DHを解除して、投げるときも打席に入れた。彼が本気になる状況をつくって、突っ走ったというのはすごく大きかったです。

──それが7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)、初球先頭打者本塁打と8回無失点の投球につながり、チームの勢いが加速していきました。

栗山 初めてDHを解除した楽天戦(5月29日、Koboスタ宮城)でタイムリーも打って「行ける」という感じがあったんですけど、一番は6月の頭(12日)に札幌ドームで阪神戦があったんですよね。それまでは投げながら、調整をしながらスピードが上がっていくことはあったんですが、阪神戦ではプレーボール直後の1球目から160キロ近い真っすぐをどんどん投げ込んで、圧倒するピッチングを見せてくれた。あのときに「これが大谷翔平なんだ」「これから伝説が始まる」と思いました。僕だけではなくてほかの選手たちも見ている中、そういうピッチャーが生まれたことで・・・

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