ドラフト1位の強打者&好守の選手たちがそろう強豪・猛虎。その中で変幻自在な守備で、ピンチの芽を摘み淡々とプレーする。華やかでもあり、地味なチームプレーにも徹する。遊撃手が固定されない中で、内野の要として23年以来の日本一へ、欠かせない存在になっている。 文=柏原誠(日刊スポーツ) 写真=BBM、佐藤真一、牛島寿人、井沢雄一郎 
23年のコンバートのときにはダブルプレーを何度も何度も繰り返し練習した
いつしか「エリア51」へ
「残念、そこは中野」。インターネットの世界で、
阪神ファンが得意げにつぶやく。ヒットだと思われた打球を
中野拓夢がグラブの先で食い止める。阪神ファンからすれば、まさに「残念でした」の痛快な気分だろう。
イチローが海を渡ってすぐのころ、現地メディアは、そのずば抜けた右翼守備を絶賛。アメリカ空軍施設の別称になぞらえて「エリア51」と呼んだ。イチローと同じ背番号51を背負ってプロ入りした中野の守備も、いつしか熱心なウオッチャーから「エリア51」と称されるようになった。今年から背番号が「7」に変わったが、守備への高い評価が揺らぐことは、もちろんない。
今の強い阪神を支えているのは中野だ。そう言ってもきっと異論は出ない。
「自分が内野のリーダーとは思っていないですけどね」と照れ笑いするが、強さの象徴として、その名前がいつも挙がっているのは事実。優勝した年には、複数の野球評論家が「陰のMVP」と評してきた。
生で試合を見ている人には「二塁・中野」の存在の大きさがよく分かるはずだ。甲子園では芝生の切れ目ぎりぎりの深い位置にポジションを取る。俊足を生かして、広いフィールドをカバー。時にはファウルグラウンドを突き抜けてフェンス際まで走る。右翼手・
森下翔太のすぐ目の前で、後ろ向きのままポケットキャッチするシーンは、夜のスポーツニュースでもよくピックアップされる。野球ファンならすぐ目に浮かぶであろう中野得意のプレーだ。
捕球してからのボディーバランス、スピード、正確さも抜群。ヒット性の打球をいくつもアウトに変えてきた。アクロバティックなアクションが注目されがちだが、中野の真骨頂は別にある。本人が語る。
「ファインプレーというよりは、ピッチャーが打ち取った打球を確実にアウトにする。それがピッチャーにとっては一番ありがたいことだと思うんです。イージーミスをしないことをまず、第一に考えて守っています」 この意識こそが・・・
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