無敵の天才打者のプライドに火をつけた。ブーマーの存在なくして、2年連続3度目の三冠王は成し得なかった。その実力を認めるライバルだからこそ見える怪物のすごみとは――。 文=横尾弘一[ベースボールジャーナリスト] 2年目の変貌に愕然
「身長2mで体重100kgというケタ外れの体格には驚いたけど、スイングのバランスは悪いし、ヒザも硬そう。変化球を投げておけば大丈夫というタイプ」
1983年春、「私のライバルは、いつも外国人だった」という
落合博満は、阪急の新外国人・ブーマーに対して、そんな第一印象を抱く。だが、実際にフリー打撃を見ると、鋭いライナーを左右に打ち分ける上にヒザの使い方も柔らかい。ただ、打球が本塁打の角度では上がっていなかったから、「打率は3割そこそこで20本塁打」と予測する。それは的を射ており、1年目のブーマーは打率.304、17本塁打62打点。三振が38と少なく、好打者だったものの落合が意識する存在ではなかった。
それよりも、83年オフの落合は燃えていた。81年に首位打者、翌82年には史上最年少で三冠王を手にし、年俸は10倍の5400万円(推定)となった。しかし、83年が首位打者のみに終わると、契約更改で現状維持を提示される。何とか粘って微増の5940万円(推定)で迎えた84年は「また3つ獲って、日本人初の1億円に乗せてやろう」と鼻息も荒かった。
そうして、落合がスポーツニュースでオープン戦でのライバルたちの様子を見ていると、ブーマーの変身ぶりに愕然とする。低いライナーが多かった打球が、本塁打になる角度で飛んでいくのだ。
メジャー・リーグに定着できなかったブーマーは・・・
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