実績ある選手たちが顔をそろえていた攻撃陣に対し、投手陣はフレッシュな未知の力が結集し、爆発した。自らも2006年に初の開幕一軍入りという若き女房役だった鶴岡慎也氏が、栄光に導いた投手陣の実像を振り返る。 取材・構成=杉浦多夢 写真=BBM エースの独り立ち
今になって振り返ってみると、手探りの中でスタートしながら若い力が台頭し、徐々に全体がかみ合っていきながらシーズンの最後まで駆け抜けることができた、という投手陣だったと思います。
まずは何と言っても、ダルビッシュ有が独り立ちし、エースが確立されたことが大きかったのは言うまでもありません。私は5月に入ってからバッテリーを組むようになりました。ダルビッシュはもともと変化球に自信があり、変化球を投げたがるピッチャーでしたが、アウトコースの真っすぐのコントロールがものすごく良くなっていきました。変化球は一流だけど真っすぐはばらつく、というイメージだったのが、アウトコースの真っすぐがビタビタと決まるようになっていったのです。アウトコースで勝負できるようになれば、対角のインコースや高めでも勝負できるようになり、もちろん持ち味の変化球はさらに生きてくる。そうした組み立てを、シーズンの中でお互いに見つけていくことができました。
ダルビッシュに限りませんが、04年から札幌ドームというホームランが出にくい球場が本拠地になっていたことも、投手陣全体の飛躍の背景にあったと思います。アウトコースに真っすぐを投げ切ることができればホームランにはならない。だから私を含めたキャッチャー陣も、アウトコースの真っすぐを基準とした配球ができる。今のエスコンフィールドでプレーしているキャッチャーは、ピッチャーがアウトコースに投げ切っても打球がライトスタンドに入ってしまうことがあるので、本当に大変だと思いますね。
ダルビッシュに話を戻すと、シーズンを通して成長を示しながらプレーオフから日本シリーズ、アジアシリーズと最後まで投げ抜いてくれました。この年はシーズンが1位でも、プレーオフの勝者がリーグ優勝という規定でした。短期決戦における先発ピッチャーの重要性は計り知れないものがあります。その意味で
ソフトバンクとのプレーオフ第1戦(札幌ドーム)で1失点の完投勝利を収めた意味は大きかった。最後の打者となった
大村直之さんを空振り三振に仕留めたストレートをミットに受けた感触は、今でも忘れられません。彼自身にとっても、チームにとって絶対的な存在となったことを示した試合だったと思います。
先発陣では
八木智哉の存在も語り落とせません。デビュー戦でバッテリーを組んだのですが、ルーキー同然だった私にとっても06年の初スタメンで、意気込んで入念に準備をしていました。ところが八木は・・・
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